愛車をカスタマイズするために、ダミーのフォグランプを付けるケースがあります。本物のフォグランプとは異なり、点灯しないダミーフォグランプは車検基準を満たすのでしょうか?
この記事では、ダミーフォグランプについて気になっている方に向けて、ダミーフォグランプの概要やメリット、車検基準、注意点などについて詳しく解説します。フォグランプとは何か?と言う基本的な説明もありますので、車について詳しくない方でも分かりやすい内容となっています。愛車をカスタムする際にぜひ参考にしてください。
ダミーフォグランプとは?
ダミーフォグランプは、見た目は通常のフォグランプと同じですが、実際には点灯しない「装飾用のフォグランプ」のことを指します。ダミーフォグランプは100均グッズで代用するケースもあり、人によってさまざまな取り付け方法があります。
ダミーフォグランプを取り付けるメリット
なぜ、点灯しないダミーフォグランプを取り付ける必要があるのでしょうか。ここからは、ダミーフォグランプを取り付けるメリットを紹介します。
主なメリットは以下の3つです。
- デザインのカスタマイズ
- コスト削減
- 保安基準の制限を回避できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
デザインのカスタマイズ
ダミーフォグランプを装着することで、実際には点灯しないにもかかわらず、フォグランプが装備されているように見せることが可能です。この効果により、車の外観が洗練され、高級感が増します。
次に、カスタマイズの自由度も大きな魅力です。ダミーフォグランプは多様なデザインやカラーが選べるため、自分のスタイルに合わせて車を個性的に仕上げることができます。これにより、他の車と差別化でき、自分だけの一台を作り上げる楽しさを味わえます。
コストパフォーマンスの面でも優れているため、実際のフォグランプを取り付けるよりも低コストで外観をカスタマイズできます。予算を抑えたいがデザインを向上させたいというユーザーには特に魅力的です。
これらの理由から、ダミーフォグランプは、車の外観を手軽にカスタマイズしたいオーナーにとって大きなメリットがあります。
コスト削減
ダミーフォグランプは点灯機能を持たないため、電気部品や光源が不要です。そのため、材料費や組み立てコストが大幅に抑えられ、実際のフォグランプよりも安価に装着できます。
また、メンテナンスコストも削減できます。実際のフォグランプは電球交換や配線の修理が必要になる場合がありますが、ダミーフォグランプはそのようなメンテナンスが不要です。ただし、レンズの割れや固定部分のゆるみは他の部品に損害を与えかねないため、日ごろからメンテナンスを心掛けましょう。
加えて、取り付けが簡単であることも大きなメリットです。ダミーフォグランプは簡単に取り付けることが可能なため、作業時間や工賃の削減ができます。
これらの理由から、ダミーフォグランプはコストを重視するユーザーや、フォグランプの機能が必要ない場合に経済的なメリットをもたらします。
保安基準の制限を回避できる
ダミーフォグランプは視界不良時に使用する実際のフォグランプとは異なり、道路運送車両法の保安基準に縛られることがありません。これにより、誤使用による法的リスクが回避できます。実際のフォグランプは、悪天候時以外での使用が推奨されないため、誤って使用した場合に法的な問題が生じる可能性がありますが、ダミーフォグランプは点灯しないため、そうしたリスクを避けることができます。
このように、ダミーフォグランプは法的制限を気にすることなく、車の外観をドレスアップすることができます。
ダミーフォグランプは車検に通る?
ダミーフォグランプを検討している人にとっては、そもそも車検に通るのかが気になることでしょう。まずは、ダミーフォグランプが車検に通るケースについて説明し、基本的なフォグランプの保安基準について解説します。
ダミーフォグランプが車検に通るケース
フォグランプは車検において必須の装備ではありません。しかし、フォグランプが取り付けられている場合は、その状態が保安基準に適合しているかが検査対象となります。ただし、フォグランプが単なる「飾り」として扱われる場合には保安基準適用外となります。
例えば、フォグランプの電球や配線を外し、運転席のスイッチも取り外した状態であれば「飾り」とみなされ、車検に通ることがあります。
また、フォグランプの球を外したり、カバーやテープで覆ったりすれば車検に通るという話もありますが、実際には車検の基準や検査官の判断によって結果が異なることがあります。そのため、車検に出す前にディーラーや修理工場に事前に相談するのが確実です。
ダミーフォグランプが車検に通るか通らないかは、ケースによって異なります。車検に通らなかった場合は面倒な手間などが発生するため、しっかりと確認したうえで取り付けを検討しましょう。
フォグランプの車検基準
フォグランプが「飾り」とみなされなければ、車検時に保安基準の適合を確認する必要があります。車検でチェックされるフォグランプの条件は、以下の5つです。
- 色
- 個数
- 明るさ
- 取り付け位置
- 光軸、カットライン
それぞれの基準について、順番に確認していきましょう。
色
フォグランプの色は、車検に通るためには「白」か「淡黄色」でなければなりません。それ以外の色は基準外とされ、車検に通らない可能性があります。また、フォグランプの色温度を示すケルビン数にも注意が必要です。ケルビン数が高いと青く見えることがあり、青色は基準外となります。目安として、7000K以下のフォグランプを選ぶと安心です。さらに、リアフォグランプの色は「赤色」と定められていますので、これも守る必要があります。
個数
フォグランプの取り付け個数には制限がありませんが、同時に3個以上点灯すると車検に通ることができません。そのため、点灯するフォグランプの数は2個までに抑え、切り替えることが可能であれば問題ありません。
また、リアフォグランプについては「2個まで」という規定があるため、過度なカスタマイズは避けましょう。リアフォグランプを必要以上に増やしてしまうと、車検に影響が出るため、規定に従ったカスタムを心がけることが重要です。
明るさ
フォグランプの明るさについては、具体的な規定は存在しません。2005年までは、光の強さを示すカンデラが1万以下であることが求められていましたが、2006年以降はこの基準が廃止されました。
ただし、明るすぎるフォグランプは、他の車両の走行に支障をきたす可能性があるため、車検に通らないことがあります。明るさの基準がなくても、「他の車両の走行を妨げる」と判断された場合、車検に不合格となることがあります。
取り付け位置
フォグランプの取り付け位置には、具体的な基準が設けられています。フォグランプの上部縁は地面から0.8メートル以下、下部縁は0.25メートル以上の高さに取り付ける必要があります。また、フォグランプの外縁は車両の外側から0.4メートル以内に設置しなければなりません。
一方、リアフォグランプについては、上部縁が地面から1メートル以下、下部縁が0.25メートル以上の位置に取り付ける必要があります。さらに、テールランプからは0.1メートル以上離すことが求められます。
光軸、カットライン
光軸はフォグランプの照射方向を指し、車検の際には必ずチェックされる重要な項目です。光軸が上向きになると、対向車に眩しさを与えてしまい、視界不良や事故の原因となる可能性があります。さらに、悪天候時に道路の足元が適切に照らされないため、フォグランプの本来の役割も果たせなくなります。
カットラインとは、光が当たる部分と当たらない部分の境界線を指し、このラインが一直線であることが求められます。ラインが不均一であれば、車検に合格することはできません。光軸やカットラインの調整は専門的な知識が必要なため、異常を感じた場合は整備士に点検を依頼するのが確実です。
ダミーフォグランプを取り付けることが多い車種は?
ダミーフォグランプは、特定の車種に取り付けられていることが多くあります。ダミーフォグランプがよく取り付けられている車種にある2つの特徴を紹介します。
- エントリーグレードの車種
- カスタマイズ目的の車両
それぞれの特徴について説明します。
エントリーグレードの車種
車のグレードの中で、もっとも価格が安いグレードを「エントリーグレード」と呼びます。グレードが上がるほど、安全かつ快適な装備が付いていたり、ハイブリッドなどの燃費が良いものになります。
フォグランプは車検に必須の装備ではないため、エントリーグレードの車両には付いていないことが多いです。そのため、エントリーグレードの車種を購入後、ダミーフォグランプの装着を検討する方がいます。
カスタマイズ目的の車種
フォグランプをカスタマイズすることで、外観がより一層素敵になるようなカスタマイズ向けの車種があります。
例えば、ヤリスクロスやハスラー、ライズ、タフトといった車種では、標準装備としてフォグランプがない場合でも、ダミーのフォグランプを取り付けることで、個性的なスタイルに変身させることができます。
フォグランプが標準装備されていない車種もあれば、はじめからフォグランプが付いている車種もありますが、カスタムによってさらに自分好みに変えることができます。
まとめ
フォグランプの取り付けは法律で義務付けられているわけではありませんが、いざ装着すると、厳密な基準を守る必要があり、それを怠ると車検に通らなくなります。
ダミーフォグランプを取り付ける際には、取り付け位置や光量、点灯方法などに細心の注意を払いながらカスタマイズすることが重要です。安全面を考慮し、ダミーではなく本物のフォグランプを付ける方が安心ですが、ダミーを装着する際は法規を守って取り付けるよう細心の注意を払ってください。