車のヘッドライトの高さは自分で簡単に調整できます。ズレたままにしておくと視認性が悪くなったり、対向車を幻惑させてしまったりするなどの危険がともないます。
本記事では、車のヘッドライトの高さ調整を自分でする方法と車検基準を解説します。高さ調整を依頼できる業者も合わせて紹介していますので、参考にしてください。
ヘッドライトの高さ(光軸)のズレは危険
ヘッドライトの高さ(光軸)がズレると危険です。ここでは、発生しやすい被害を2つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①視認性が悪くなる
正しい高さ(光軸)でヘッドライトを照らすことができなければ、運転席から見える視界が悪くなってしまいます。光軸が下にズレている場合は、ヘッドライトを遠くまで照らすことができません。
道路の視認性を高めて安全に走行するためには、ヘッドライトを正しい高さに調整することが大切です。
②対向車の視界を妨げてしまう
ヘッドライトの光軸が上にズレている場合は、対向車を照らして視界を妨げてしまいます。さらにはあらゆる方向に光が散乱する「グレア光」が発生し、事故につながる可能性も少なくありません。
対向車や周りの車に迷惑をかけないためにも、ヘッドライトの光軸がズレていないか確認してみましょう。
ヘッドライトの高さ(光軸)調整の基準
ヘッドライトにはロービーム(すれ違い用前照灯)とハイビーム(走行用前照灯)の2種類があり、平成27年9月からロービームが車検基準となっています。
国土交通省の第198条によって定められている、車検基準は以下の通りです。
平成10年8月31日以前製作車:前方10mの位置を照らしたときの位置を測定します。ハイビームの照明部中心より10cm上から照明部中心高の5分の1下、左右はそれぞれ27cm以内に最高光度点が収まっていること。
参考:国土交通省「前照灯の検査について」
平成10年9月1日以降製作車:前方10mの位置を照らしたときの位置を測定します。ロービームの中心が地面から1mの高さにある場合、上下は中心を通る水平線より2cm下から15cm下、左右はそれぞれ27cm以内にエルボー点(※)が収まっていれば合格です。1m以上の高さにある場合は上下がそれぞれ7cmから20cm下に変わります。
参考:国土交通省「前照灯の検査について」
※エルボー点とは、(※)カットオフラインが屈折する起点となっている部分のことです。
※カットオフラインとは、カットされた部分と照射部分の境目のことです。ヘッドライトのロービームはハイビームと異なり対向車や先行車の視界を妨げないように、上方向を照らす光がカットされています。
ヘッドライトの車検基準は、平成10年9月1日以降・以前に製作された車によって、ハイビーム・ロービームで検査するかが異なります。光軸調整をする際は自分の車が製作された年度を確認し、適正なヘッドライトと基準で行うように注意しましょう。
光軸調整を自分でする方法
先述の通り、光軸がズレたままになっていると事故を誘発してしまいますので、定期的に確認することをおすすめします。
以降では自分で光軸調整する2つの方法を紹介しています。
一つずつ確認していきましょう。
①ヘッドライトの光を壁に当てる
光軸を正しい位置に調整するには、ヘッドライトの光を壁に当てる方法が簡単です。
ここでは、3つのステップで紹介します。
【1】車を壁から3mほど離した位置で停車させ、壁に対してヘッドライトをまっすぐかつ垂直に照らします。レベライザー(※)がある場合は、通常時の0に戻しておきましょう。
【2】カットオフラインが左上がりになっている部分が見えるため、ラインに沿ってマスキングテープを壁に貼ります。また車検のためにバルブを交換する方も多いと思います。バルブを新品に交換した際は、再度同じ位置からヘッドライトを壁に当ててマーキングに合うように確認すると完了です。
【3】ズレていた場合は、光軸調整用の上下に動かせるネジと左右に動かせるネジを回して調整します。奥にある回しにくい場所でも届くように、柄の長いドライバーや専門のレンチがあると便利です。
注意点として、樹脂製の光軸調整用のネジは力を入れすぎてしまうと、ネジ山が潰れてしまう可能性があります。さらに無理に回した場合は、破損する恐れもあるでしょう。
いずれも修理・交換をするのに高額な費用がかかってしまうため、力の加減をしながら少しづつ回すことが大切です。
②テスタで予備検査をする
ヘッドライトの光を壁に当てて調整するのが不安な方は、テスタ(機械)での予備検査がおすすめです。今回は、画像処理方式ヘッドライトテスタを例に紹介します。
手順は以下の3つです。
①車両を所定の方向に配置した後、開始ボタンを押す
②自動でヘッドライトの位置にテスタが移動する
③光を受けた後、自動でランプが向かい合う
車検基準に合格すると緑の数字が画面表示され、不合格の場合は赤色となります。
テスタの測定なら合否だけでなく数値も確認できるため、自分で光軸調整をしやすくなるでしょう。
光軸調整の依頼ができる3つの業者
光軸調整の依頼ができる3つの業者を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①ディーラー
ディーラーは販売業者やメーカー特約販売店を意味し、店舗によっては光軸調整にも対応しています。ただし、光軸調整のみの場合は利益が少なく断られる可能性もあります。
実際に近くのディーラー店舗に車を持ち込もうと考えている方は、光軸調整のみに対応しているのか確認をすることが大切です。
またディーラーの光軸調整料金は、2,000〜5,000円ほどかかります。プロの目でメンテナンスをしっかりと行ってほしい方は、利用すると良いでしょう。
②カー用品店
カー用品店は車に追加で装備できるパーツや、メンテナンスの際に利用するグッズ等を専門に販売しています。車検に対応している店舗なら、光軸調整をしてくれる場合があります。
光軸調整費用は1,000〜3,000円と比較的安いため、コストを抑えたい方は利用してみても良いでしょう。
③テスター屋
車検場の近くにあるテスター屋は、車検と同じ内容を確認できます。実際にテスター屋で合格となれば、車検に通らない心配がありません。
また車検に不合格となった場合も再度テスター屋にて調整が可能で、光軸調整料金は2,000〜3,000円ほどです。
ヘッドライトの光軸が車検基準に満たしているのか不安に思う方は、検査場にある測定器と同様の機器を揃えているテスター屋を利用してみると良いでしょう。
ヘッドライトの高さ調整によくある質問
車のヘッドライトの高さ調整に関するよくある4つの質問に答えました。参考にしてください。
- 車のライトは自動調整できますか?
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ロービームの角度調整はできます。ただし、HIDヘッドライトが装備された車のみでハロゲンヘッドライトの車の場合、調整は手動です。
- 自動車のロービームの高さは?
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ロービーム(すれ違い用前照灯)の高さは、地上から1m20cm以下と国土交通省によって定められています。参考:国土交通省「第198条」
- ヘッドライトの光軸調整はどこの業者でできますか?
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ディーラー・カー用品店・テスター屋で光軸調整の依頼ができます。
- 2024年8月からヘッドライトの検査基準が厳格化されるの?
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厳格化されます。現在の検査方法はロービームで計測し、計測が困難な場合はハイビームで計測をしていますが、2024年8月(※)からのヘッドライト審査は、ロービームのみで光軸と光量を計測します。ロービームで基準不適合となっても、ハイビームでの計測は行なわれません。
※地域によって変更時期に違いあり。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
まとめ
本記事では、車のヘッドライトの高さ調整を自分でする方法と車検基準を解説しました。
高さ調整を自分でする方法と、車検基準をまとめると下記の通りです。
高さ調整を自分でする方法
- 車を壁から3mほど離した位置で停車させ、ヘッドライトを垂直に照らす
- ラインに沿ってマスキングテープを壁に貼る
- 光軸調整用の上下に動かせるネジと左右に動かせるネジを回して調整する
車検基準
- 平成10年8月31日以前製作車:ハイビームの照明部中心より10cm上から照明部中心高の5分の1下、左右はそれぞれ27cm以内
- 平成10年9月1日以降製作車:ロービームが1mの高さにある場合は上下は中心を通る水平線より2cm下から15cm下、左右はそれぞれ27cm以内
- 平成10年9月1日以降製作車:ロービームが1m以上の高さにある場合は上下がそれぞれ7cmから20cm下、左右はそれぞれ27cm以内
ヘッドライトの光軸がズレている場合は、視認性が悪くなったり、対向車の顔を照らして幻惑させてしまったりと危険です。
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