「車のヘッドライトをスモーク化してみたい!」と思っている方もいるのではないでしょうか。
ヘッドライトのスモーク化は、手軽に個性を演出できる人気のカスタムです。
しかし、車検の基準や安全性を十分に理解し、注意点も考慮した上で行う必要があります。
この記事では、車のヘッドライトをスモーク化するさまざまな方法と、カスタム後に必ず確認しておきたい車検基準について詳しく解説します。
スモーク化する際の注意点などもお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
ヘッドライトのスモーク化の方法
ヘッドライトのスモーク化は、スタイリッシュで精悍(せいかん)な印象を与える人気のドレスアップ方法です。
ここでは、ヘッドライトをスモーク化する方法を3つ解説します。
- スモークフィルム
- 塗装
- スモークカバー
それぞれ確認しましょう。
スモークフィルム
スモークフィルムは、手軽に車の印象を変えられる人気のカスタム方法です。
コストを抑えつつ、理想のヘッドライトにドレスアップできます。
ただし、施行の際には注意が必要です。湾曲部への貼り付けはシワになりやすいためキレイに仕上げるには技術を要します。
また、剥離時にフィルムの糊跡が残る場合があります。
なお、商品を選ぶ際は透過率の低いフィルムを避けるようにしましょう。照射性能を低下させ、車検に通らない恐れがあります。
ヘッドライトのスモークフィルムを選ぶ際は、手軽さだけでなく、自身の技術や安全性、車検基準を考慮し、慎重な判断が重要です。
塗装
ヘッドライトをスモークにする方法のひとつに、スモーク塗装があります。
スプレータイプを使用すれば、色合いの調整が容易になるため、 好みの仕上がりを実現しやすいです。
一方で、事前の準備や技術、塗りすぎによるリスクなどに注意する必要があります。
まず、塗装前にはヘッドライト周辺の養生が必要で、きれいに仕上げるにはある程度の塗装技術が求められるでしょう。
また、下地処理としてヤスリで細かい傷を付け、塗料の密着性を高めるため、一度塗装するとやり直しは困難です。
塗料を塗りすぎると光が十分に照射できなくなり、ヘッドライトとしての役割を果たせなくなる可能性もあります。
ヘッドライトのスモーク塗装は手軽な方法ですが、準備、技術、塗布量に注意して行いましょう。
スモークカバー
ヘッドライトをスモーク調にする方法として、スモークカバーがあります。
硬質なプラスチック製で、被せるだけでヘッドライトをスモーク化できる手軽さが人気です。
特別な技術や工具は不要で、DIY初心者でも扱えます。
しかし、希望の車種専用の製品がない場合は取り付けられません。
また、透過率の低いスモークカバーはヘッドライトの照射性能を低下させ、夜間や悪天候時の視認性を悪くする可能性があります。
安全な走行のためにも、透過率の高い製品を選ぶことが重要です。
スモークカバーは手軽なカスタム方法ですが、車種適合性と透過率を考慮して慎重に選びましょう。
車検に通るヘッドライトのスモークとは?
ヘッドライトをスモーク化した状態で車検に通るための重要なポイントを解説します。
- 色
- 明るさ
- 光軸
国土交通省が定める保安基準に適合していれば、スモーク化したヘッドライトでも車検に通ります。
ひとつずつ確認をしましょう。
色
ヘッドライトをスモーク化する際は、保安基準で定められた発光色から変化しないように注意しましょう。
スモーク化によってヘッドライトの色味が変わり、車検に通らなくなる可能性があるからです。
ヘッドライトの発光色は、車両の製造年月によって以下の保安基準が定められています。
製造年月日 | 保安基準の発光色 |
---|---|
平成17年12月31日以前に製造 | 白色または淡黄色 |
平成18年1月1日以降に製造 | 白色 |
ヘッドライトの色味はケルビン(K)で示され、3000K前後が淡黄色、6000K前後が白色、8000K以上が青みがかった白色です。

車検では、検査官が目視で色を確認するため、明らかに色が変わるような濃いスモークの使用は避けましょう。
このように、ヘッドライトのスモーク化を行う際は、保安基準に適合する発光色を維持することが重要です。
明るさ
車検では、ヘッドライトの明るさが6400カンデラ(cd)以上と定められています。
スモーク化によって光量が低下すると、基準を満たさなくなる可能性があるため、注意が必要です。
スモーク化の影響は、ヘッドライトの種類により異なります。
光量の少ないハロゲンランプの場合、車検に通るのが難しい可能性があります。
一方で、ハロゲンランプより明るいHIDやLEDは、スモーク化しても基準を満たせる場合もあるでしょう。
そのため、事前に整備工場やテスター業者で明るさを確認しておくことをおすすめします。
ヘッドライトのスモーク化は、車検の明るさ基準とヘッドライトの種類を考慮して行うことが大切です。
光軸
ヘッドライトのスモーク化によって光軸がずれることはありません。
スモークフィルムの貼り付けやスモークカバーの装着といった一般的なスモーク化の作業では、ヘッドライトの光源であるバルブや、光を反射させるリフレクターの物理的な位置・角度を変更することがないためです。
光軸とは、ヘッドライトが照射する光の向きのことですが、この向きは光源とリフレクターの位置関係によって決まります。
スモーク化はレンズ表面の透過率を変えるものであり、これらの部品の位置に影響を与えるものではありません。
そのため、色や明るさに問題がないのに車検に通らないといった場合は光軸に原因があるかもしれません。
光軸は普段の運転で徐々にズレていくため、スモーク化の際に合わせて確認しておくと安心でしょう。
ヘッドライトをスモークにできる場所
ヘッドライトのスモーク化はDIYも可能ですが、美しい仕上がりを求めるなら専門業者への依頼が良いでしょう。
ワンランク上の仕上がりにするためには、専門技術が必要です。
しかし、保安基準の問題で、カー用品店やディーラーでは断られる場合があります。
そのため、外観のカスタマイズ(ドレスアップ)を得意とする専門業者を探しましょう。
ヘッドライトのスモーク化は、望ましい仕上がりとリスクを考慮して選択することが大事です。
ヘッドライトをスモークするときの注意点
ヘッドライトをスモーク化した場合、車検に通過する以外にも注意すべき点があります。
- ディーラー車検を受けられない
- 夜間の視認性低下
- 塗装ではやり直しができない
事前にしっかり確認しておきましょう。
ディーラー車検を受けられない
ヘッドライトをスモーク化すると、ディーラーでの車検や点検が難しくなる可能性がある点を考慮しておきましょう。
ディーラーは、メーカーの厳しい基準を重視するため、新車時の基準を満たしていないと判断した場合、入庫を拒否する可能性があります。
これは、ディーラーが抜き打ち検査で不適合車両を扱っていた場合、メーカーからの認定を取り消されるリスクを回避するためです。
ヘッドライトをスモーク化した車の車検を依頼したい場合は、下記の業者を検討する必要があります。
- 民間の整備工場
- カー用品店
- 一部ガソリンスタンド
- 車検専門店
これらの業者は、主に国の定める保安基準への適合を重視して車検を行います。
ヘッドライトをスモーク化する際は、ディーラーでの車検が難しくなることを理解し、必要に応じて他の業者での車検や点検を検討しましょう。
夜間の視認性低下
ヘッドライトのスモーク化は、夜間の視認性を低下させ、事故のリスクを高めるため、慎重に行いましょう。
スモークフィルムやカバーは、ヘッドライトの光量を減少させ、夜間の視界を悪化させる原因のひとつです。
また、光量不足は車検不合格にもつながります。
安全性を最優先に考え、ヘッドライトのスモーク化は慎重に行い、過度なスモークは避けるようにしましょう。
塗装ではやり直しができない
先述のとおり、ヘッドライトを塗装によってスモーク化にした場合、基本的に元の状態には戻せません。
重ね塗りで濃くすることはできますが、透明なクリア状態に戻すのは困難です。
元の状態に戻したいと思った場合、レンズそのものを交換するしかありません。
さらに、車種によってはヘッドライトユニット全体を交換しなければならない場合もあります。
塗装でヘッドライトをスモーク化する際は、「一度行うと元に戻せない」という点を十分に理解しておく必要があるでしょう。
不安な場合は、塗装前にアクリル板や透明なプラスチック板などに試し塗りを行い、仕上がりのイメージを確認してから作業することをおすすめします。
まとめ
ヘッドライトのスモーク化は、愛車をより個性的に、スタイリッシュに演出できる人気のカスタムです。
フィルム、塗装、カバーといった多様な方法でドレスアップできます。
しかし、過度なスモーク化は、車検の保安基準に適合しないばかりか、夜間の視認性を大きく損ない、交通事故のリスクを高める可能性がある点に留意が必要です。
ヘッドライトのスモーク化を行う際は、本記事で解説した車検基準や注意点を十分に理解し、安全な範囲内でカスタムを楽しみましょう。