昨今のアウトドアブームにより、トラックでキャンピングカーを自作する方が増えています。その中でも2tトラックは、ハイエースのワイドボディと同程度サイズながら居住空間の広さを確保できるため、キャンピングカーのベース車として人気です。
当記事では、2tトラックをキャンピングカーへ自作する手順や費用の目安、車検基準を解説します。また、トラックドライバーの経験がある筆者が運転のコツも合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
2tトラックをベースにキャンピングカーを自作する手順
2tトラックでキャンピングカーを自作するための手順は以下の通りです。
- ベース車の選定
- シェル部分の設計
- 材料・工具の準備
- 土台、骨組みを作る
- 外装・屋根を整える
- 内装を作る
自作する際は、最大積載量を超えないように設備の重量を意識しましょう。また、作業時は軍手を着用し、ケガに注意しながら自己責任で行ってください。
ベース車の選定

まずはキャンピングカーを自作する目的に応じて、2tトラックの状態や年式を検討しましょう。使用目的に合った車体を選ぶことで、不要な出費を抑え、自作にかかる費用を最小限にできます。
たとえば、短期間の使用を想定している場合は、車両価格の安さを重視して選ぶのもひとつの方法です。一方、全国を旅する予定であれば、価格よりも2tトラックの状態や整備状況を優先したほうが安心でしょう。
キャンピングカーの使い方を明確にし、何を優先するかを決めることで、自分に合ったベース車を選びやすくなります。
シェル部分の設計

荷台のサイズを測定し、ベッド、キッチン、収納などのレイアウトを考えます。2tトラックの最大積載量や寸法は車体により異なりますが、法律で定められています。そのため、設備の重量だけでなくシェル部分の高さや長さにも配慮が必要です。
横幅は車体からはみ出さないようにし、多くのトンネルに合わせ高さを2,500mm以内に抑えることで、法規制を守りつつ日本の道路事情でも走行しやすくなります。
なお、コンテナを購入して荷台に載せ、そのまま居住スペースとして利用する方法も選択肢のひとつです。
材料・工具の準備

キャンピングカーの自作に必要な材料、工具は以下の通りです。
- 木材
- 断熱材
- 外壁材
- 防水シート
- コーキング剤
- インパクトドライバー
- 丸ノコ
- メジャー
など
上記は、シェル部分の製作や内装を仕上げるうえで必要となる基本的な材料・工具です。事前に必要なものを把握しておけば、作業の段取りが組みやすくなり、制作もスムーズに進められます。
なお、使用する工具や材料はキャンピングカーの仕様によって異なります。作業のしやすさや仕上がりを考えながら、自分に合った工具やより良い材料を必要に応じて追加していきましょう。
土台、骨組みを作る

土台は強度を最優先に考えて施工します。木材やアルミフレームでベースを組み、その上に合板を敷いて床を作るのが一般的です。その際、床下に断熱材を入れておくと底冷え対策になります。
また、荷台と壁の隙間は雨水が侵入しやすいため、防水シートやコーキングを使って丁寧に防水処理をしましょう。
外装・屋根を整える

屋根は雨水がスムーズに流れるよう配慮し、三角屋根にしたり傾斜を設けたりするケースが多く見られます。屋根や外壁に木材を使う場合は、防腐・防水加工を必ず施しましょう。一方で、アルミやFRPパネルは軽量で防水性が高く、長期間の使用に向いています。
外壁に窓や換気扇などを取り付ける際は、居住性を意識した設備を取り付けられる穴をあけておきます。また、外壁と屋根や設備の接合部も雨水が侵入しやすいため、丁寧に防水処理をしておきましょう。
内装を作る

内装のベッドや収納スペースは、走行中の振動や横揺れでも動かないよう、しっかり固定する必要があります。家具を設置する際は重量配分を意識し、バランスよく配置することが大切です。
たとえば、設備が右側に集中すると車体が傾き、タイヤの偏摩耗やサスペンションへの負担につながる可能性があります。そのうえで、換気扇や収納スペースを効率よく配置することで、自分に合った快適な居住空間に近づけられます。
2tトラックのキャンピングカー自作にかかる費用は約100〜400万円
キャンピングカーを2tトラックで自作する場合の目安は次のとおりです。
- 中古車から自作:約100万~400万
- すでに所有:約30万~60万
中古車を購入して自作する場合の内訳は、ベース車の購入費が約70〜300万円、シェル製作や内装にかかる費用が約30〜60万円が目安になります。
すでに2tトラックを持っている場合はこの車両費が不要となるため、約30〜60万円で自作できます。
費用を抑えるには、ドアや窓を中古でそろえ、キッチンやトイレはポータブルタイプを選ぶのがおすすめです。費用をかける部分と抑える部分のメリハリをつけることで、コストを抑えつつ納得のいくキャンピングカーを自作できます。
自作キャンピングカーのベースに中古の2tトラックを選ぶ際の注意点

中古の2tトラックをベース車として選ぶ場合、ボディ全体にサビが発生しているケースがあるため注意が必要です。とくに荷台はサビやすい部分なので、購入後はサビを除去し、防錆剤を塗布したうえで再塗装しておくと再発防止になります。
また、2tトラックにはショート・ロング・ワイドロングなど複数のサイズがあり、車体寸法や荷台内寸が大きく異なります。主なサイズは以下の通りです。
| 2tショート(標準) | 2tロング | 2tワイドロング | |
|---|---|---|---|
| 全長 | 約4,700〜5,000mm | 約6,000〜6,100mm | 約6,000〜6,500mm |
| 全幅 | 約1,700mm | 約1,900mm | 約2,200mm |
| 全高 | 約2,000mm | 約2,200mm | 約2,200mm |
| 荷台内寸 | 約3,000mm | 約4,300mm | 約4,300mm |
| 荷台幅 | 約1,600mm | 約1,700mm | 約2,000mm |
駐車予定の場所に問題なく収まるか、用途に合ったサイズかどうかを考慮し、ボディサイズを選択しましょう。なお、荷台寸法は架装(カスタム)状態によって異なるため、購入前に実車の寸法を測定するのがおすすめです。
2tトラックキャンピングカーの車検基準は自作前に理解しておく
キャンピングカーを自作する場合、車検基準を満たしていなければ公道は走行できません。2tトラックをキャンピングカーとして使用するには、管轄の陸運局で8ナンバーへの構造変更申請が必要になります。
主な要件は以下の通りです。
- サイズ規定を満たした就寝設備が固定されている
- 就寝定員は乗車定員の3分の1以上の大人用就寝設備を有している
- 就寝部位は1人につき長さ1.8m以上、かつ幅0.5m以上の連続した平面があること(子ども用は1人につき長さ1.5m以上、かつ幅0.4m以上)
- 就寝設備は座席と兼用でない
- 10ℓ以上の貯水能力がある水道設備を有している
- 調理可能な炊事設備が備えられている
など
自作後に「基準を満たしていなかった」とならないよう、制作前の段階から要件を把握し、作業中もこまめに寸法を確認しましょう。
2tトラックでキャンピングカーを自作するメリット・デメリット
2tトラックでキャンピングカーを自作するメリット・デメリットは以下の通りです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| コストが削減できる 自分好みに制作できる DIYの知識がつく | 車検基準を理解する必要がある 安全性が担保できないことがある 完成まで長期間かかる |
とくに、2tロング車や2tワイドロング車をベースにすると駐車場が限られやすく、自作の難易度もやや高度になります。もし「自分にはハードルが高い」と感じた場合は、軽バン・軽トラ・商用バンでキャンピングカーを自作する方法もあります。詳しくは、以下の記事を参考にしてみてください。



【運転のコツ】2tトラックは乗用車とは違う乗り物だと認識する

2tトラックのロング以上のサイズは、乗用車と運転の感覚や注意点が異なります。以下の項目はとくに意識しましょう。
- 内輪差やオーバーハングに気をつける
- 重量物を積んでいるとブレーキが効きにくくなる
乗用車と同じ感覚で運転していると事故へつながる可能性もあるため、違う乗り物だと認識することが重要です。
内輪差やオーバーハングに気をつける
2tトラックは乗用車に比べて内輪差が大きくなります。とくに2tロング以上のサイズでは、右左折時の内輪差を意識しましょう。
内輪差とは、右左折の際に前輪よりも後輪が内側を通る現象のことです。
乗用車と同じ感覚でハンドルを切ると後輪が内側に入り、歩行者や縁石、電柱などに接触してしまうおそれがあります。
左折時は左ミラーを確認しながら、後輪と縁石が同じ位置に来たタイミングでハンドルを切ると、後輪が内側へ入りにくくなります。右折時は、右折先にいる対向車の位置を確認してからハンドルを切るようにしましょう。
また、オーバーハングにも注意が必要です。
オーバーハングとは、右左折時に後輪より後ろの荷台部分が曲がる方向と反対側にはみ出す現象のことです。
たとえば、左折時は車体後方が右側へ振り出されるため、右側車線の車両と接触する可能性があります。ハンドルを切ってから発進するとオーバーハングが大きくなりやすいため、進みながら徐々にハンドルを切ると後方部分がはみ出しにくくなります。
右左折時は常にゆっくりと操作し、内輪差とオーバーハングに注意しながら、安全を最優先に曲がりましょう。
重量物を積んでいるとブレーキが効きにくくなる
2tトラックは、荷台が空の状態と最大積載量を積んだ状態ではブレーキの効きが変わります。重量物を積むと車両総重量が増えるため、制動距離が伸びるからです。
キャンピングカーはシェルを積載した状態になるため、常に最大積載量に近い状態で走行しています。そのため、キャンピングカーは常にブレーキが効きにくい状態だといえます。キャンピングカーを運転する際は、ブレーキ性能を過信せず速度を抑え、早めのブレーキ操作を意識しましょう。
また、フットブレーキを長時間踏みっぱなしにしているとフェード現象やベーパーロック現象が起こります。
- フェード現象:ブレーキパッドが熱を持ち、効きが悪くなる
- ベーパーロック現象:ブレーキフルードが沸騰して気泡が発生し、油圧が伝わりにくくなる
そのため、下り坂ではフットブレーキは短く断続的に踏み、エンジンブレーキや排気ブレーキと併用することで各部品への負担を軽減できます。排気ブレーキは排気抵抗を増やし、減速をサポートする装置で、車両総重量3.5t以上の車両に装備されています。
2tロング以上の運転は乗用車とコツが異なります。常に慎重な運転を心がけましょう。
2tトラックのキャンピングカー自作に関するQ&A
2tトラックのキャンピングカー自作に関するよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。
キャブコンキャンピングカーとは?
キャブコンとは、ボンネットのない車両の運転席(キャブ)の後方に居住スペースを架装(コンバージョン)したキャンピングカーのことです。「キャブコンバージョン」を略してキャブコンと呼ばれています。ベース車両はトラックが多いですが、ハイエースをベースにしたキャブコンも存在します。
キャブコンは高さがあるため、立体駐車場に入れないケースが多く、小回りが利きにくいことがデメリットです。一方で、他のキャンピングカーでは味わえない居住空間とキッチンやベッドなど充実した設備が魅力です。
そのため、キャブコンは家族や友人と複数人でゆったりと旅を楽しみたい方に向いています。
自作キャンピングカーは違法?
車検基準や関連する法令を守っていれば、キャンピングカーの自作自体は違法ではありません。ただ、構造変更や8ナンバー登録には細かな要件が定められているため、順守できていないと違反になります。
8ナンバーの要件を十分に理解したうえで制作を進め、法令をクリアした車両を自作してください。
まとめ
2tトラックのキャンピングカーを自作する手順は、ベース車を選定し、シェル部分の設計から始めましょう。その後、材料や工具を準備し、土台や骨組みを組み立て、外装・屋根を仕上げたうえで内装を作り込んでいきます。後から手直しが発生しないよう、制作段階から車検基準を意識して作業するのが重要です。
費用の目安はベース車両を含めて約100〜400万円で、中古車の状態や導入する設備、材料によって変動します。また、2tロング以上の大きさのキャンピングカーは乗用車とは運転の注意点が異なるため、内輪差やブレーキの感覚はとくに意識しましょう。
当記事を参考に、2tトラックのキャンピングカーを自作を楽しめそうだと感じた方は、ぜひ挑戦してみてください。

