中古車だとハイエースより安く買える日産キャラバン。車中泊やキャンプでも活躍してくれるため、自作でキャンピングカーにしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
結論、キャラバンを自作でキャンピングカーにすることは可能です。ただ、注意点や安全基準について理解しておかないと、車検に合格できない可能性があります。
当記事では、内装を自作する際の手順や注意点、車検基準を解説します。筆者の経験からキャンプ時におすすめのアイテムも紹介していますので、快適なバンライフを始めたい方はぜひ参考にしてください。
キャラバンをキャンピングカーに自作する6つの手順
キャラバンを自作でキャンピングカーにするための手順を解説します。
- 工具を揃える
- 座席・天井・側面の内張を剥がす
- 制振シート・断熱材を貼る
- 内装の壁・床を作る
- 座席とベッドを作る
- キッチン・水道を設置する
DIY初心者には難しい工程もあるため、随所でプロに依頼すると安全で快適に過ごせる空間が完成します。なお、作業は必ず自己責任で行ってください。
キャラバンのキャンピングカー自作に必要な工具は、以下の通りです。

必要な工具 | 概要 |
---|---|
ノコギリ(ジグソー、丸鋸) | 床や壁に組み付ける木材のカットに必要。曲線カットがしたい方は、ジグソーも揃えておく。 |
インパクトドライバー | ネジの締め付け、穴あけに必要。作業の快適性アップと時短になる。 |
サンダー | 木材のやすりがけに必要。 |
ソケットレンチ・六角レンチ | 座席や内装の取り外しに必要。車種や場所によって使用されているボルトが異なるため、さまざまなサイズがあると安心。 |
ニッパー・ラジオペンチ・カッター | 内装の内張や座席取り外しの際に、あると便利。 |
メジャー・直角定規 | 正確に寸法を計測し、きれいに完成させるためにも100均のものは避ける。(精度が悪いため) |
カナヅチ・釘 | なくても作業自体は可能。ただ、パーツが外れないときや、木材の寸法がピッタリではまりにくいときにあると便利。 |
グラインダー(砥石) | サンダーのサンドペーパー研磨に対して、グラインダーは砥石で研磨できる。金属を研磨したい場合はグラインダーが必要。 |
内張剥がし | 内装の内張をスムーズに剥がすために必要。 |
電動工具のビット各種 | 穴あけドリルやドライバーのさまざまなサイズを用意しておくと安心。 |
作業前に必要な工具を揃えておけば、途中で作業をストップせずに済みます。時短のためにも、事前に工具を揃えておくといいでしょう。

天井や床、側面の内張を剥がす際、まずはプラスチックのクリップを取り外します。クリップをすべて外した後は、内張を剥がしていきます。ただ、内装のパーツは目に見えない箇所も固定されているため、力を調整しながら内張剥がしで丁寧に外しましょう。
天井はクリップ・ルームランプ・各席上部に設置されている取っ手を外してから、内張を剥がします。座席やシートベルトは、ソケットレンチですべてのボルトを緩めてから取り外します。また、取り外した座席は産業廃棄物なので、自治体のルールに従うか不用品の引取業者に依頼しましょう。
車の構造は車種ごとに異なるため、車に詳しい人と作業したり、ネットで調べたりすると作業がスムーズに進みます。

制振シートとは振動を軽減し、騒音を和らげる効果があるシートのことです。シールタイプなので、簡単に貼り付けできます。キャンピングカーで就寝する際、騒音に邪魔されないためにも天井に施工するのがおすすめです。
断熱材を施工する際は、ウレタン系接着剤で貼り付けましょう。風が通りそうな部分に断熱材を貼っていくと、隙間風を防止できるため保温性を高められます。また、断熱材を貼る前に断熱コートを塗っておくと、より高い断熱性能が得られます。
断熱材の代表的な素材は3つあり、それぞれの特徴は以下の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
グラスウール | ・安価 ・変化や劣化が起こりにくい | 水分を吸うと断熱性能が低くなる |
ロックウール | ・鉱物を繊維状に加工した素材 ・耐熱性、撥水性、騒音性に優れている | グラスウールに比べると高価。湿気に弱い |
ポリエステル | ・医療や寝具に使われるほど、安全性が高い ・湿気に強く、断熱性を保ちやすい | 熱に弱く、断熱性が低い |
予算が許すならロックウール、予算を抑えたいならグラスウール、安全性や環境性能を優先するならポリエステルがおすすめです。

まずは車内の壁・天井・床の面積を正確に計測しましょう。木材を購入する際は計測したサイズより少し大きめを購入しておくと、作業中でも微調節が可能です。また、ホームセンターでは購入した木材を安価でカットしてくれるサービスや、工具のレンタルサービスもあります。電動工具の購入費を抑えたい方は利用してみてください。
木材が決まったら、車の壁にビス打ちしていきます。その際、ビスが長すぎると車体の外側に貫通してしまうため、木材の厚さ+5〜10ミリを選ぶと安心です。スギなどの針葉樹だと材質が柔らかく、振動でビスが抜けやすい傾向にあります。一方でケヤキなどの広葉樹は硬く、走行中の振動を受けにくいため、に固定したい箇所には広葉樹を使用しましょう。
木材の材質は車内の雰囲気を決めます。予算だけでなく、木目や触り心地を意識しながら選びましょう。

キャンピングカーでよく見る座席がベッドになる仕組みは難易度が高く、DIY初心者には難しいです。就寝中や走行中に倒壊する恐れもあるため、専門家やキャンピングカーを制作しているプロに依頼するのがおすすめです。
どうしても自作したい方で知り合いに職人や専門家がいる場合は、注意点やコツを教えてもらいながら作業しましょう。

キッチン・水道も一部分の自作は可能ですが、寸法が細かいことやタンクから水を引き上げる仕組みの設置が煩雑になります。自作した骨組みの倒壊や水道の水漏れ等のリスクを考慮すると、専門家やショップに任せるほうが安心・安全です。
キッチンには電気配線作業もあるため、知識がない初心者の方は作業しないことを推奨します。
キャラバンのキャンピングカー自作にかかる費用は約30万〜100万円
キャラバンのキャンピングカー自作には約10〜30万円かかります。電気設備や水道などのインフラを整えると、100万円を超えるケースもあります。主な内訳は以下の通りです。
- 内装の木材、家具:約3〜30万円
- サブバッテリー、インバーターなど:約3〜30万円
- その他(断熱材やカーテンなど):1〜5万円
シンプルな車中泊仕様なら50万円前後、素材や設備にこだわるともっと高額になることもあります。キャンピングカーを自作する際は、こだわりたい部分とそうでない部分を明確にし、予算の使い方にメリハリをつけましょう。
キャラバンの内装を改造する時に車検NGになりやすいポイント
キャラバンをキャンピングカーに自作する際、常に車検基準は意識しておきましょう。とくにNGになりやすいポイントは以下の通りです。
- 乗車定員の3分の1以上の大人用就寝設備を用意する
- 1人当たりの就寝部位毎に、就寝部位の上面から上方に0,5m以上の空間を有する
- 洗面台等は床面から上方に有効高さ1,600mmを確保する。洗面台等の上端(蛇口、レバー及び浄水器等、水を供給する構造を除く)設備自体の高さが床面から上方に850mm以下の場合は1,200mm以上の空間を確保する
参考:国土交通省
たとえば乗車定員5名の場合、1名以上の就寝設備が必要になります(端数は切り捨てるため)。就寝設備とは、長さ1,800mm以上・幅は連続した500mm以上を確保した設備のことです。キャラバンの後部座席を取り外してベッドを自作した場合、必ず上記の数値を満たしましょう。
水道を設置する場合も、床から天井まで1,600mm以上必要です。そのため、床や天井に板を張り付ける際は木材の厚さを意識し、都度計測すると完成後のやり直しを避けられます。また、木材の厚さは3mm以上確保していないと難燃性とみなされないため、車検に合格できません。
キャラバンを自作でキャンピングカーにする際は、車検基準についてきちんと理解しておくことが重要です。
キャラバンをキャンピングカーにした際の車検に必要な手続き
キャラバンをキャンピングカー登録にすると、4ナンバーや1ナンバーから8ナンバーに変わります。8ナンバーとは、特種用途自動車に登録すると得られるナンバープレートです。主に救急車や消防車、ゴミ収集車などが当てはまります。
8ナンバーへ変更するには構造変更届が必要となり、書類を用意して運輸局へ申請を行います。構造変更に必要な書類は以下の通りです。
- 車検証
- 自動車検査票
- 点検整備記録簿
- 自賠責保険証明書
- 認印
- 2号様式の申請書
- 手数料納付書
- 自動車重量税納付書
- 自動車税種別割納税証明書
代理人手続きも可能ですが、委任状が必要です。国土交通省の公式サイトで書類をダウンロードしておくと、運輸局でスムーズに手続きできます。
自作したキャラバンのキャンピングカーでより快適に過ごすためのアイテム
自作したキャラバンのキャンピングカーで快適に過ごすためのアイテムを、筆者の見解を交えて紹介します。
- 電源・ポータブルバッテリー
- カーテン・シェード
- キャンピングマットやシュラフ(寝袋)
- LEDルームランプ・ランタン
紹介するアイテムは、車中泊をするなら必須と言えるものばかりです。快適な睡眠、プライバシーの確保など、居住性を確保することでバンライフをより楽しめます。
電源・ポータブルバッテリー

車中泊で快適に過ごすには電源が必要です。エンジンを切って車の電気を使っていると、バッテリーが上がりエンジンがかからなくなってしまいます。アイドリング状態で電気を使えばバッテリーは上がりませんが、車中泊でのアイドリングはマナー違反となり、一酸化中毒のリスクもあります。
そのため、ポータブルバッテリーやサブバッテリーを搭載し、アイドリングしなくても電気を使える状態にすると快適な車中泊が可能です。電気ケトルや電子レンジの使用、タブレットの充電などができるため、居住性が段違いにアップします。
カーテン・シェード

フロントガラスのシェード、居住空間のカーテンは必須です。カーテンがないと車内が丸見えになり、プライベート空間は得られません。また、汎用品のシェードだとわずかな隙間でも光が漏れたり、外から見えたりするため車種専用設計がおすすめです。
秘密基地への没入感をアップさせるためにも、カーテン・シェードは必ず導入しましょう。
キャンピングマットやシュラフ(寝袋)

冬の車内はかなり冷えるため、シュラフを用意しておくと快適に就寝できます。冬だけでなく、春や秋でも昼との寒暖差があるため、薄手のシュラフもあると安心です。布団や毛布でも対応できますが、シュラフは使用しないときにコンパクトにできるため、収納力が限られているキャンピングカーで活躍します。
また、シュラフは性能と価格が比例しやすい商品です。そのため、価格ではなく性能重視で選びましょう。価格で選んでしまうと、匂いがキツかったり思ったほど暖かくなかったりします。
キャンピングマットは、自動で空気が入るインフレータブルタイプがおすすめです。快適に就寝するためには、マット部の厚みが8〜10センチあるといいでしょう。
LEDルームランプ・ランタン

車中泊のとき、夜の暗さに驚くことがあります。ルームランプをLEDに交換しておけば特別な操作は必要ないため、すぐに明かりが欲しいときに役立ちます。
また、ピンポイントで照明が欲しい場所には小型のLEDランタンが便利です。複数用意しておけば、間接照明代わりにもなり、おしゃれ空間を演出できます。
まとめ
キャラバンのキャンピングカーを自作するのはDIY初心者でも可能です。ただ、座席部分やベッド、水道・キッチン部分は専門知識が必要な箇所はプロショップに任せるほうが安心です。
また、なんとなくで制作を進めていくと車検に通らない可能性があるため、木材や各空間の寸法に気を配りながら確実に作業しましょう。
キャンピングカーを自作すると費用が抑えられ、愛着も湧きます。愛車のキャラバンを素敵なキャンピングカーへ変身させ、おしゃれで快適なバンライフを過ごしてみませんか。