車のエアコンをつけたとき、最初だけ酸っぱいにおいやカビ臭さを感じたことはありませんか?においの原因の多くは、エアコン内部のカビや雑菌、フィルターの汚れです。そのまま放置すると車内環境の悪化だけでなく、同乗者の体調にも影響する可能性があります。
当記事では、車のエアコンが最初だけにおう原因や、筆者が中古車購入時に必ず行う対策法を紹介します。車のエアコンのにおいを取りたい方はぜひご覧ください。
車のエアコンが最初だけ臭いのはカビや雑菌が原因

車のエアコンが臭いのは、内部のカビや雑菌が原因です。エアコンフィルターやエバポレーターに付着したカビや雑菌がにおいを発し、エアコンの風に乗って車内に一気に放出されます。エバポレーターとは、エアコンフィルターを通ってきた風を冷やす冷却装置のことです。
エアコンの風は始動直後がもっともカビ臭が含まれているため、最初だけ臭いと感じます。時間が経つと人間の鼻が慣れてしまい、においを感じなくなります。
車のエアコンが臭いときは、原因であるエアコンフィルターの交換やエバポレーターを清掃するのが効果的な対策です。
車のエアコンのにおいを取る方法
筆者は中古車を購入した際、必ずエアコンフィルターを交換します。中古車はいつ交換したか、どんな使い方をされていたかわからないためです。そこで、筆者のエブリィワゴン(da17w)を参考にエアコンフィルターの交換手順を紹介します。
- グローブボックスを外す
- 古いエアコンフィルターを取り外す
- 新しいエアコンフィルターを取り付ける
基本的にどの車種でもエアコンフィルターの場所は同じなので、大まかな作業内容は変わりません。なお、カー用品店などに交換を依頼すると、約3,000〜7,000円かかります。
グローブボックスを外す

エアコンフィルターは助手席のグローブボックス奥に設置されています。車種ごとに外し方が異なり、ボルトで固定されているタイプやストッパーの場合もあります。
エブリイワゴンの場合、工具は必要ありません。グローブボックス上部(白丸)を片側ずつ内側に押して、ストッパーを外します。下部のヒンジ部分(赤丸)も固定されているので、手前に引くと外れます。
古いエアコンフィルターを取り外す

グローブボックスを外すと、中央部分の黒い箱の中にエアコンフィルターがあり、左側のツメから外すとフタを開けられます。中にあるエアコンフィルターは、はまっているだけなので引っ張ると簡単に取れます。
エアコンフィルターには上下の向きがあるため、取り外す際に覚えておきましょう。
新しいエアコンフィルターを取り付ける

古いエアコンフィルターを取り外したら、向きに注意して新品と交換します。「↑UP」が上になるように設置します。
後は黒い箱のフタとグローブボックスを逆の手順で戻し、エアコンのにおいを確認して交換作業は終了です。
【その他】車のエアコンのにおいを取る方法
エアコンフィルター交換以外でエアコンのにおいをとる方法は、以下の通りです。
- エアコン内部クリーナーを使う
- エバポレーターの清掃
- カー用品店や専門店でのエアコン清掃
エアコンフィルター交換が手軽で効果が高くおすすめですが「効果を感じられなかった」「作業に自信がない」という方は、上記の方法も試してみてださい。
エアコン内部クリーナーを使う
オートバックスなどのカー用品店や、大手通販サイトで購入できるクリーナーで簡単にエアコン内部の洗浄ができます。エアコン内部クリーナーは、吹き出し口から噴射するタイプと、窓を閉め切ってスチームを噴射するタイプがあります。
エアコン内部クリーナーの効果は一時的で、においの原因を完全に除去できないため、しばらくすると再発するケースが多い印象です。においの原因を根本から除去したい場合は、エアコンフィルター交換やエバポレーターの清掃がおすすめです。もうすぐ車を乗り換える、一時的でも今すぐ臭いを除去したいという方は、エアコン内部クリーナーを使用するといいでしょう。
エバポレーターの清掃

エアコンフィルター交換でもにおいが改善しない場合は、エバポレーターの清掃をしましょう。エバポレーターは風を冷却する装置なので結露しやすく、カビにとって絶好の住処となります。
エバポレーターの洗浄剤は、カー用品店や大手通販サイトで購入できるため自分で作業できますが、自信がない方は業者に依頼しましょう。
カー用品店や専門店でのエアコン清掃
エバポレーターの清掃作業はオートバックスなどのカー用品店やカーエアコン専門店に依頼できます。清掃作業の費用相場は、以下の通りです。
| 店舗 | 費用相場 |
|---|---|
| カー用品店 | 約5,000〜15,000円 |
| ディーラー | 約7,000〜20,000円 |
| カーエアコン専門店 | 約10,000〜18,000円 |
費用は車種やメニューによって変動し、作業時間は約30〜60分です。内容によっては、60分以上かかることもあるので、予約する際は時間に余裕がある日にしましょう。
カーエアコン専門店ではプロの機材で洗浄してくれるので、長期的な効果が期待できます。
車のエアコンのにおいを予防する4つの対策
車のエアコンを清掃したあとは、においが再発しないように予防しましょう。
- エンジンを切る前にエアコンを送風にする
- エアコンを使わない時期でも月に2、3回稼働させる
- 定期的な車内清掃を行う
- 喫煙するときは窓を全開にする
上記4つを実践しておけば、エアコンのにおいが再発する可能性をグッと減らせます。
エンジンを切る前にエアコンを送風にする
エンジンを切る前にエアコンを送風にし、エバポレーターの結露を乾燥させて、カビの繁殖を防ぎます。目的地に到着する10〜15分前からA/Cボタンをオフにし、送風モードにします。可能なら風量を最大にすると、効果的です。
また、エンジンをかけて窓を全開にし、エアコンの風量・温度を最大にして10分ほど暖房運転するのもにおいに対する応急処置として有効です。
エンジンを切る前にエアコンを送風にし内部を乾燥させることで、においの原因となるカビの発生を防止できます。
エアコンを使わない時期でも月に2、3回稼働させる
定期的にエアコン内部を乾燥させ、エアコン内部を除湿・乾燥させましょう。雑菌やカビの繁殖を抑えられ、エアコンを使い始めたときの嫌なにおいを予防できます。
春や秋など、エアコンを使わなくても快適に過ごせる時期でも月に2、3回程度は稼働させておくと、におい発生の予防になります。
定期的な車内清掃を行う
定期的な車内清掃は、エアコン臭の予防として有効です。車のエアコンは、車内の空気も取り込むため、車内環境が悪いとエアコン内部の汚れの原因となります。
シートに染み込んだ汗や皮脂がにおいを発し、エアコン内部に取り込まれるとエバポレーターやエアコンフィルターに付着します。そのまま放置すると、冬に暖房をつけたときに繁殖した雑菌が一気に放出されます。
車内清掃は掃除機だけでなく、拭き掃除や消臭スプレーを使用し、できる限り清潔に保つことが重要です。レザーシートの場合は、固く絞ったタオルなどで拭き掃除しましょう。
喫煙するときは窓を全開にする
喫煙の際は窓を全開にし、車内に煙が滞留しないようにしましょう。喫煙はエアコンだけでなく、車内全体ににおいが残ります。窓を締め切ったまま喫煙していると内装やエアコンフィルターにヤニが付着し、においや変色の原因となります。
車内で喫煙する方はエアコンフィルターをこまめに点検・交換し、ヤニの付着を最小限にしましょう。
また、ペットを車に乗せる方もエアコンフィルターに毛が溜まりやすくなるため、エアコンフィルターをこまめに点検するのがおすすめです。
車のエアコンのにおいが最初だけでも放置してはいけない3つの理由

エアコンが臭いのは最初だけ、と放置してはいけません。そのまま放置すると、以下のような危険性があります。
- 乗車している人の体調への悪影響
- 燃費の悪化やエアコンの負担増
- エアコンではなく違う部品の故障の可能性
車のエアコンが臭い場合、エアコンフィルターが原因だと思っていても故障の可能性もあり得ます。臭いと感じたときは放置せず、すぐに対処しましょう。
乗車している人の体調への悪影響
エアコンが臭い原因の多くは、カビや雑菌です。つまり、カビの胞子を車内に撒き散らしている状態になるので、吸い込むと体調へ悪影響を及ぼします。とくに子どもや高齢者、空気中の物質に敏感な方はアレルギーや咳の原因となります。
子どもや高齢者を頻繁に乗せる方は、早急にエアコン臭の原因をさぐり、改善しましょう。
燃費の悪化やエアコンの負担増
エアコンフィルターや内部が汚れていると、冷暖房効率や燃費が低下します。エアコンの内部が汚れていると風量が弱くなり、コンプレッサーの性能も発揮できません。
内部の汚れによって性能が発揮できないコンプレッサーは常に「まだ冷えていない、暖まっていない」と判断し、通常より余計に稼働します。結果、エンジンを動力とするコンプレッサーの過稼動は、燃費の悪化や故障リスクの増加につながります。
エアコン臭の放置は燃費悪化、コンプレッサー故障の可能性があるため、金銭的負担を防ぐためにも早めに対策しましょう。
エアコンではなく違う部品の故障の可能性
エアコン臭の原因がエアコンフィルター・エバポレーターだとは限りません。冷却水(クーラント)が漏れている可能性も考えられ、甘いにおいがする場合は要注意です。
そのまま放置するとオーバーヒートを起こし、エンジンが壊れる可能性があります。オーバーヒートは最悪の場合、廃車となる場合もあります。冷却水はエンジンルーム内にあるため、甘いにおいがしている場合は、ボンネットを開けて同じにおいを感じないか確認しましょう。
「エンジンルームからも同じにおいがしている」「車内よりはっきりにおいがわかる」場合はディーラーや利用している車屋に連絡し、判断を仰ぐのがおすすめです。
「車のエアコンが最初だけ臭い」に関するよくある質問
車のエアコンが最初だけ臭いときによくある質問についてまとめました。ぜひ参考にしてください。
車のエアコンのにおいが急に臭くなるのはなぜ?
長期間エアコンが使用されないと内部に湿気が残った状態となり、カビや雑菌が繁殖し続けます。その状態でエアコンを稼働させると、溜まっていた悪臭の成分が一気に放出されるため、急に臭くなったように感じます。とくに、エアコンを使い出す夏や冬の始めは、においやすい傾向にあります。
車のエアコンのにおいは暖房30度で取れる?
エアコン内部、エバポレーターを乾燥させることでカビや雑菌の繁殖を抑えることはできますが、根本的な解決にはなりません。
窓を全開にし、温度と風量を最大に設定します。10〜15分ほどエアコン内部を乾燥させることで、一時的ににおいを抑えられます。
エアコンフィルターを交換してもまだ臭いのはなぜ?
エアコンフィルターを交換してもまだ臭い場合は、エバポレーターが原因の可能性があります。エバポレーターにカビや雑菌が付着していると、エアコンフィルターが新品でもにおいは完全に取れません。
エアコンフィルターを交換してもまだ臭い場合、もっとも効果的なのがエバポレーターの清掃です。また、甘いにおいがする場合は冷却水が漏れている可能性があるため、エンジンルームを点検してください。
まとめ
車のエアコンが最初だけ臭いのは内部の「カビ」「雑菌」「汚れ」が原因です。そのまま放置すると、燃費や健康に影響するため、できる限り早く対処することでさまざまなリスクを回避できます。また、車内の掃除を習慣づけ、オフシーズンでも定期的にエアコンを稼働させることで、においの発生を予防できます。
エアコンのにおい対策で、もっとも手軽で効果的なのはエアコンフィルターの交換です。車種ごとに作業内容は変わりますが、大まかな流れは紹介したやり方で交換できます。エアコンフィルター交換でもにおいが改善しない場合は、エバポレーターを清掃しましょう。
まずは紹介したエアコンフィルター交換を参考にし、エアコン臭を改善してみてください。

