車のエアコンの効きが悪いため、「エアコンガスを自分で補充してみよう」と考える人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下を紹介します。
- 車のエアコンガス補充に必要な道具、費用
- 車のエアコンガスを自分で補充する方法
- 車のエアコンガスを自分で補充する際の注意点
また、業者別費用やエアコンガスを補充しても効きが良くならない場合の対処法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
車のエアコンガス補充に必要な道具と費用
車のエアコンガスの補充に必要な道具と費用は以下の通りです。
| 必要な道具 | 費用 |
|---|---|
| エアコンガス(R134a) | 約400〜1,000円 |
| エアコンガス(R1234yf) | 約4,000〜8,000円 |
| ガスチャージホース | 約3,000〜5,000円 |
| マニホールドゲージ | 約3,000〜15,000円 |
| 保護グローブ | 約1,000円 |
エアコンガスは安価で入手しやすい「R134a」と、新型車に採用されている「R1234yf」の2種類が主流です。R1234yfは環境性能に配慮されており、2017〜2018年以降の車に採用されています。
対応エアコンガスはエンジンルーム内のステッカーに記載されているため、事前に確認しておきましょう。
また、ガスが漏れる、正確に測れない、といった事態を避けるためにも、ガスチャージホースやマニホールドゲージは価格よりも品質を優先するのがおすすめです。
車のエアコンガスを自分で補充するやり方|6ステップ
車のエアコンガスの補充手順は以下の通りです。
- ガス缶にチャージホースのバルブを取り付ける
- ホースを車の低圧側ポートに取り付ける
- ガス缶側のバルブを緩めてホース内の空気を抜く
- エンジンを始動させてエアコンをオンにする
- エアコンガスの注入
- ゲージが適正圧力になれば注入完了
エアコンガスを自分で補充する際は必ず保護グローブを着用し、自己責任で行ってください。作業に不安がある方は無理をせず専門業者へ依頼するのがおすすめです。
ガス缶にチャージホースのバルブを取り付ける

チャージホースにガス缶を取り付けます。チャージホースのバルブ内部にはガス缶に穴を開けるための針がついています。誤ってガス缶が開かないよう、上部のネジを左に回して事前に針を引き上げてください。
ガス缶にチャージホースを取り付ける際は、バルブの締めすぎに注意しましょう。なお、ガス缶のネジ部分は樹脂でできているため、締めすぎるとガスが漏れる恐れがあります。
ホースを車の低圧側ポートに取り付ける

エンジンルーム内の太いアルミ配管上にある「L」のキャップを見つけ、チャージホースの反対側をカチッと音がするまで差し込みましょう。
なお、「L」の低圧側とは別に「H」の高圧側もあります。両者はカプラーのサイズが異なるため、基本的に誤って取り付けることはできない構造になっています。
高圧側のバルブはプロによるガス圧測定や修理のときに使用されるため、触れないようにしてください。
ガス缶側のバルブを緩めてホース内の空気を抜く

エアコンガスを補充する際は、ホース内を真空状態にしなければいけません。そのため、あらかじめホース内の空気を抜く必要があります。エアコンシステム内に空気が混入すると、冷却効率低下につながるためです。
ホース内の空気を抜くために、ガス缶側のバルブを一瞬だけ緩めましょう。車側の圧力のほうが高いので、逆流することなく、空気を押し出してくれます。
プシュッという音を確認後、すぐにバルブを締めてください。長時間緩めると、車側のエアコンガスが漏れてしまいます。
エンジンを始動させてエアコンをオンにする

ホース内を真空状態にしたあと、コンプレッサーを始動させます。
エアコンガスを補充するときのエアコンの設定は以下の通りです。
- 最低温度
- 最大風量
- 内気循環
また、車内温度が安定するとコンプレッサーが止まるため、常に動くように窓を全開にしておきましょう。
エアコンガスの注入

コンプレッサーが稼働した状態で、ガス缶側バルブ上部のネジを締め込み、ガス缶に穴を開けましょう。ガス缶に穴を開けた後、ネジを緩めて針を戻すとエアコンガスが車に吸い込まれていきます。
なお、エアコンガス注入中はガス缶が冷たくなります。逆さまにしないよう注意しながら、手で温めたり、振ったりしてください。ガスが凍結し、注入が止まるのを防ぐためです。逆さまにすると液体状の冷媒が配管に入り、トラブルの原因になります。
ゲージが適正圧力になれば注入完了

エアコンガスの注入中は、ゲージの数値を確認してください。マニホールドゲージの適正圧力が25〜45psiの範囲に収まれば、エアコンガスの補充完了です。
また、ガスを注入し始めたときはゲージの数値が上昇します。その後、徐々に圧力が下がり、適正値になっていきます。圧力が上下しなくなったら終了です。
マニホールドゲージの数値の見方は以下を参考にしてください。
- 緑色:ガス不足(0〜25psi)
- 水色:適正量(25〜45psi)
- 黄色・赤色:ガスが多い(45psi〜)
必ず水色の適正圧力の範囲内に収まるようにしましょう。
自分でエアコンガスを補充する際の注意点
自分でエアコンガスを補充する際の注意点は以下の通りです。
- 使用済みのガス缶は専門の回収業者に依頼する
- エアコンガスの種類を間違えないようにする
使用済みのガス缶をそのまま捨てるのは法律で禁止されています。順に解説します。
使用済みのガス缶は専門の回収業者に依頼する
エアコンに使用されている冷媒は、フロンガスです。フロンガスの容器は一般ゴミとして捨てられません。製造元や専門の回収業者に依頼して処分しましょう。
残ったエアコンガス(フロンガス)を大気に開放することは法律で禁止されています。法律に違反した場合、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
参考:環境省
フロンガスは地球温暖化の原因となるため、厳しく管理されています。容器が空に見えてもガスが残っていることもあるため、自己判断で排出しないようにしましょう。処分は購入店や回収業者に相談してください。
エアコンガスの種類を間違えないようにする
エアコンガスの種類を間違えると、他部品の故障原因となります。もし、間違えて注入してしまった場合は、エアコンを作動させないようにしましょう。ディーラーや整備工場に連絡し、エアコンガスを間違えたことを伝えてください。
異なるガスが混ざると、コンプレッサーの故障や配管の漏れ・固着が発生する可能性があります。修理代が何十万円かかる場合もあるので、必ずエアコンガスの種類を確認し、間違えないようにしましょう。また、エアコンガスの入れすぎもコンプレッサー故障につながるおそれがあります。
車のエアコンガス補充の依頼先と費用相場
車のエアコンガス補充にかかる費用相場と依頼先は、以下の通りです。
| 依頼先 | 費用相場 |
|---|---|
| ディーラー | 約6,000〜20,000円 |
| 民間整備工場 | 約4,000〜10,000円 |
| カー用品店 | 約5,000〜15,000円 |
| ガソリンスタンド | 約3,000〜15,000円 |
エアコンガスを自分で補充出来そうにないと感じる方は、業者へ依頼しましょう。なお、R1234yf対応車種の場合、表記より高くなることがあります。
ディーラー

ディーラーで車のエアコンガス補充を依頼する際の料金は、約6,000〜20,000円です。メーカー純正ガスを使用し、安心して任せられるのが特徴です。メーカーに特化した専門知識が蓄積されている一方、他の業者より価格が割高な傾向があります。
また、エアコン不調の原因がガス不足ではなかった場合でも、その場で点検してもらえる可能性があります。
費用より安心を優先したい方はディーラーに依頼するのがおすすめです。
民間整備工場

民間整備工場でのエアコンガス補充は約4,000〜10,000円です。ディーラーより安価で、有資格の整備士が対応してくれます。また、整備士の方と仲良くなると、車の豆知識を教えてもらえることもあるでしょう。
ただ、民間整備工場は個人経営のため、設備や技術に差があります。口コミやホームページを事前に確認しておくと、作業の丁寧さや接客対応の傾向を把握できます。
整備士の方とコミュニケーションを取りたい、ディーラーより安く有資格者の整備を受けたい方は民間整備工場へ依頼するといいでしょう。
カー用品店

カー用品店でのエアコンガス補充は約5,000〜15,000円です。気軽に立ち寄れる点と、夏前にはエアコン関連のキャンペーンが多いのがメリットです。キャンペーン中のカー用品店は混雑するため、予約してから来店しましょう。
また、カー用品店の整備士は必ず資格を取得しているわけではなく、アルバイトの方もいます。認証工場や指定工場がある店舗を選ぶと、プロの整備士が在籍しているため安心して任せられるでしょう。
気軽にエアコンガスを補充したい、他のパーツも一緒に取り付けたい方はカー用品店で依頼するのがおすすめです。夏前だとキャンペーンが適用され、費用を安く抑えられる可能性があります。
ガソリンスタンド

ガソリンスタンドでのエアコンガス補充は約3,000〜15,000円です。店舗数が多く、気軽に利用できるのがメリットです。
ただ、設備が不十分なことが多く、エアコン不調の原因がガス不足ではなかった場合は対処できない可能性があります。
ガソリンスタンドへの依頼は、給油のついでに依頼したい場合や、まずはガスを補充してエアコン不調の原因を確認したいときに向いています。
車のエアコンガス補充が必要か判断する方法
車のエアコンガス補充が必要か判断する方法は以下の通りです。
- サイトグラスの気泡量は適正か
- 冷風が出るか
- コンプレッサーの始動音はするか
冷風が出ない原因はエアコンガス不足だけではありません。上記3つを確認し、エアコンガス補充の目安にしてください。順に解説します。
サイトグラスの気泡量は適正か
車のエアコンガスの残量は、高圧側バルブの近くにある「サイトグラス」と呼ばれる小さな窓でガスの残量を確認できます。
エンジンをかけてエアコンを作動させ、気泡の量を確認しましょう。確認の仕方は以下の通りです。
- 気泡がまったくない:入れすぎ
- 気泡が時々見える:適正
- 気泡が多い:足りていない
車によってはサイトグラスがない場合もあります。その際は以下の判断基準を参考にしてください。
冷風が出るか
冷房が効かない、ぬるい風しか出ない場合はエアコンガス不足を疑うのが一般的です。他にも走行中だけ冷風が出たり、エアコンの設定が最低温度のときのみ冷えたりする場合も同様です。
まずはエアコンフィルターの清掃や交換を試し、エアコンガスを補充してみましょう。
ただし、コンプレッサーやコンデンサーの故障、エアコンフィルターの詰まりでも同様の症状が見られるため、必ずしもガス不足が原因とは限りません。
コンプレッサーの始動音はするか
エアコンガスの補充が必要かどうかは、コンプレッサー(A/Cボタン)をオンにしたときの「カチッ」という音がするかも判断材料のひとつです。
カチッと音がしないならコンプレッサーが故障しています。音がするのに冷えない場合はエアコンガス不足の可能性があります。
冷風が出ないと感じたら、コンプレッサーの始動音も確認してみてください。
車のエアコンガスを補充しても効きが良くならない場合
エアコンガスを補充しても効きが良くならない場合は、以下の方法を試してみましょう。
- エアコンガス漏れ止め剤を試してみる
- 他部品の故障がないか点検してもらう
エアコンの故障は夏場だと熱中症の危険があり、命に関わります。費用がかさむこともあるかもしれませんが、できる限り早く対処しましょう。
エアコンガス漏れ止め剤を試してみる
エアコンガスを補充しても再度漏れてしまう場合は、エアコンガスの漏れ止め剤を試してみてください。漏れ止め剤は、エアコンシステム内を循環し、配管の亀裂やガス漏れ箇所に反応して破損箇所を埋めてくれる商品です。
筆者は実際に、漏れ止め剤でエアコンが冷えない症状が改善しました。
夏に冷風が出なくなり、民間整備工場でエアコンガスを補充→2週間程度でガスがなくなり、再発→エアコンガス漏れ止め剤を提案され、試す→以後、冷風が出続けるようになる
エアコンガス漏れ止め剤は、漏れている配管の亀裂が小さい場合のみ、効果があります。亀裂が大きいケースや、配管が原因ではなかった場合は効果がありません。
必ず直るわけではありませんが、高額修理になる前に試してみると、筆者のように改善する可能性があります。
他部品の故障がないか点検してもらう
エアコンガスを補充しても冷風が出ない場合は、他の部品が故障している可能性があります。エアコンが効かない原因はガス不足以外にも多数あり、ぬるい風しか出ない、風がまったく出ないなど、症状によって異なります。
エアコンの不調がどのような症状かを明確にし、以下の記事を参考に故障原因を探ってみましょう。

まとめ
車のエアコンガスは自分で補充できますが、専用道具が必要です。専用道具はエアコンガス補充を依頼できるほどの金額になるうえ、使用頻度も低いため、自分で作業しても費用対効果は高くありません。
ガスの入れ間違いや入れすぎるリスク、ガス缶の処分に手間がかかることを考えると、エアコンガスの補充は業者に任せるのが無難です。
なお、エアコンガスを補充しても症状が改善しない場合は、他の部品の故障が疑われるため、プロにしっかり点検してもらいましょう。夏場は熱中症のリスクもあるため、早めに修理してください。

