令和6年8月以降の車検から導入される「ロービーム計測」の見直しについて注目が集まっています。この検査により、これまでは合格だった車も不合格になる可能性が出てきてしまっています。車検に不合格にならないよう、しっかりと事前準備しておきましょう。
この記事では、ロービーム計測の見直しの基本情報や懸念点、事前にやっておきたいことなどを紹介しています。
特に、社外製のランプを使っている人や、年式が古い車に乗っている人にとっては重要な内容なので、ぜひ最後までご一読ください。
【令和6年6月更新】ロービーム計測の移行時期
この移行は、2026年8月1日までの最長2年間延期された地域もあります。この延期の理由として、自動車技術総合機構は、各地域での周知不足や対象車両数の多さなどを挙げています。ただし、この延期は全ての地域に適用されるわけではなく、関東、中部、近畿、四国、九州、沖縄の陸運局は2026年8月1日までに移行する予定です。
地域ごとの状況に応じて移行スケジュールが決定され、全ての対象地域が2年間の延期を受けるわけではないことに留意してください。
令和6年8月からの車検における「ロービーム計測の見直し」とは?
令和6年8月から、自動車のヘッドライトの検査方法がロービーム計測に変更されます。これまでは、ロービームとハイビームの両方を点灯させて検査していましたが、今後はロービームのみを使用するようになります。なお、この内容は、1998年(平成10年)9月1日以降に製造された車両が対象です。
これまでは、ロービーム計測が困難な車についてはハイビーム計測を行って車検に合格していた車も、今回の見直しによりロービーム計測にて検査に合格する必要があるため、改めて基準に適合しているか事前の整備で確認しておく必要があります。
そもそも「ロービーム計測」とは?
ロービーム計測では、以下の検査基準に対して合格する必要があります。
- 光量
- カットライン
- 色味
ここからは、それぞれの基準について解説します。
光量
ヘッドライトの品質には、光量基準が重要です。これは、車のライトが点灯したときに、前方をどれだけ明るく照らせるかを測定する基準です。
この基準では、ライト自体ではなく、リフレクターがどれだけ効果的に光を反射するかが重視されます。測定にはカンデラという単位が用いられ、基準値は1灯あたり6,400カンデラ以上です。
車のヘッドライトを改造した場合、この基準を満たしていない可能性があるため、車検前に自己点検することが重要です。事前に自己点検することで、必要な明るさが確保されているかどうかを確認し、安心して車検に臨むことができます。
カットライン
ヘッドライトの品質を確認する際に注目すべきポイントの一つが、「カットライン」です。この項目は、ヘッドライトを点灯させた際に、正しい方向に光が照射されているかを検査します。左側通行の国である日本では、両方のヘッドライトが左肩上がりに照らされるべきです。
また、光の境界線が明確であるかどうかも重要です。ヘッドライトの光軸は、バルブの交換や車両の衝撃によってずれることがあります。そのため、このカットラインが正しい位置にあるかどうかを確認することが重要です。
色味
車検の審査項目の一つに、「ヘッドライトの色味」があります。純正パーツを使用している場合は通常問題ありませんが、社外品を装着している場合は要注意です。社外品のヘッドライトには、黄色みがかったものから青みの強いものまで様々な色味があります。
色味はケルビンで表現され、ヘッドランプの場合は4,000〜6,000ケルビンが基準です。青みの強いライトは審査で問題となる可能性があります。また、黄色みが強すぎるものも車検に通らないとなることがありますので、注意が必要です。
ヘッドライトのカバーが汚れていると、色味が変わることがあるため、車検前にはカバーの状態も確認しておくことが重要です。
令和6年8月からの車検における「ロービーム計測の見直し」に対する懸念点
ロービーム計測の見直しにおいて、以下のことが懸念されます。
- 光軸調整がシビアで調整が困難になる
- 車両の老朽化により車検に通らなくなる可能性がある
ここからは、これらについて詳細に解説します。
光軸調整がシビアで調整が困難になる
ロービームはハイビームに比べて照射範囲が狭く、光軸調整がシビアです。車検前の整備で、ロービーム計測に対応した調整が行われていない場合は、調整に時間がかかってしまったり、調整方法を知らずに車検に通らなくなったりするケースも考えられます。
特に、古い車種や社外品ヘッドライトを使用している車両は、調整が難しく、基準適合に時間がかかる可能性があります。また、古い車種の中には、ロービーム計測に対応できない車両もあります。そのような車両は、車検を通すことができなくなり、廃車せざるを得ない状況になる可能性もあります。
自分の車が基準を満たせるかどうか心配な場合は、車検に持ち込む前に事前に確認しておきましょう。
車両の老朽化により車検に通らなくなる可能性がある
年式が古い車両は部品が劣化し、光量が低下している場合があります。特に、以下の場合はこれまで以上に注意する必要があります。
- レンズ面のが劣化(黄ばみ、曇り、ひび割れなど)している
- 内部リフレクタ(メッキ剥がれ、曇りなど)が劣化している
- 純正のものと極端に異なる形状のバルブに交換している
これらの劣化が見られる車の場合は、しっかりと整備・調整した上で車検に持ち込むようにしましょう。ロービーム計測では、ハイビーム計測よりも厳しい光度基準を満たす必要があり、老朽車にとってはハードルが高くなります。
車検で不合格にならないための対策
車検でヘッドライト関連で不合格にならないためには、以下のことをやっておくことをおすすめします。
- ヘッドライトを磨いておく
- 予備検査場で事前に確認する
- 適合したバルブを装着する
- アイラインに注意する
これらについて解説します。
ヘッドライトを磨いておく
車検を受ける際には、ヘッドライトをきれいに磨くことが重要です。汚れを取り除くことで、正確な光軸を確保することができます。
通常の手入れでは、クリーナーを使ってクロスで磨く方法が一般的ですが、頑固な黄ばみがある場合は耐水ペーパーやコンパウンドを利用しましょう。
ただし、ヘッドライトの内部が汚れている場合は、自己処理が難しいため、プロに依頼することをおすすめします。
予備検査場で事前に確認する
車検を受ける前に、ヘッドライトの状態を確認するためにテスター(予備検査場)を利用しましょう。
車検場周辺には、テスターと呼ばれる予備検査場があり、車検と同様の検査を行ってくれます。
テスターでは、様々な項目をチェックし、通常約2,000円程度で検査を受けることができます。再検査の費用や手間を考えると、事前にテスターでヘッドライトをチェックしておくことは、十分に意味のある行動です。
適合したバルブを装着する
ヘッドライトの性能を維持するためには、適切なバルブを選ぶことが不可欠です。バルブのサイズや光量に適合したものを選ぶことが重要です。純正品と同じ仕様のバルブを選ぶことで、失敗を避けることができます。
一般的に、市販のバルブは明るさをケルビンやルーメンで表記しています。ケルビンは色温度を示し、ルーメンは光の総量を示すため、光量を直接示しているわけではありません。
しかし、車検で求められるのは、明るさであり、最低でも6,400カンデラ以上の光量が必要です。したがって、車検に合格するためには、この基準を満たすバルブを選択することが重要です。
アイラインに注意する
車検を通過する際に留意すべき点の一つに、アイラインの取り付けがあります。アイラインは車の外観を装飾するアイテムで、ヘッドライトの上や下に取り付けることで車の外観を変えることができます。しかし、アイラインがヘッドライトの光を妨げる場合、車検に通過できない可能性があります。
特に、アイラインが大きすぎたり、取り付け位置が問題になることがあります。ただし、アイライン自体を装着することには問題はありません。多くのメーカーが純正オプションとしてアイラインを提供しています。
アイラインを取り付けたい場合は、ヘッドライトの機能を妨げないように位置やサイズを確認することが重要です。
まとめ
ヘッドランプにおける車検の検査方法の見直しは、社外製のランプを使用する上では重要な情報です。
現在取り付けているランプが車検に通るかどうか事前に確認しておき、必要であれば整備しておくなど、しっかりと準備をしてから車検を受けるようにしましょう。