ハイエースは広々とした車内空間とカスタムの自由度の高さから、ソロからファミリーまで幅広く車中泊用の車として選ばれています。
この記事では、ハイエースが車中泊に向いている理由から、快適に過ごすためのアイデア、注意点まで詳しく解説しています。
また「コンプリートカー」と「純正からカスタム」どちらが自分に合うのかの判断ポイントも紹介します。ハイエースで車中泊を楽しみたい方は、ぜひ最後まで読んで理想の車中泊スタイルを見つけてください。
ハイエースが車中泊におすすめな理由
ハイエースが車中泊におすすめな理由は以下の通りです。
- カスタムパーツの多さ
- タフなエンジン
- 室内が広い
- DIYの自由度が高い
ハイエースは他の車種に比べてカスタムパーツがかなり多く、車中泊用のグッズも多数ラインナップされています。箱型で使い勝手の良い車内空間を備えており、内装がシンプルでDIY好きにもぴったりです。
また、ハイエースにはガソリン車とディーゼル車があり、ディーゼルエンジンは構造上、丈夫で長距離走行にも耐えられるように作られています。そのため、適切なメンテナンスがされたディーゼル車なら、50万キロ以上の走行も可能です。
「長距離走行に耐えられる」「自分好みにカスタムした車内は快適性に直結する」ことから、ハイエースは「車中泊に向いている車」だといえます。
ハイエースでの車中泊を快適にするためのアイデア4選
ハイエースの車中泊をより快適にするためのアイデアは以下の通りです。
- ベッドキット
- スクリーンドア
- フリップアップテーブル
- 防虫ネット
上記のアイデアで、車内の使い勝手が大きく向上します。快適性をアップさせたい方は、導入しやすいものから試してみてください。
ベッドキット

ハイエースの荷台にベッドキットを設置すれば、上段はベッド、下段は収納スペースになります。ベッドキットはメーカーによってクッション性・フラット性を重視したものや、用途によって高さを調整できる商品もあります。
設置するだけでベッドキットの上が生活や就寝スペースになるので、ハイエースでの車中泊には必需品と言っても過言ではありません。中古車にはベッドキットがついている車体もあるので、購入後にすぐに車中泊したい方はベッドキット付きを探すといいでしょう。
スクリーンドア

スクリーンドアとは、ハイエース後部ドアの小窓につける網戸のことです。車中泊で小窓を開けたままにしていると、外からの視線や虫が気になる方も多いでしょう。
そこでスクリーンドアを使用すれば、換気しながらプライバシー保護と虫の侵入を防げます。冬は結露対策として有効です。また、スクリーンドアは4型以降から形状が変わるため、所有しているハイエースの年式を車検証で調べてから購入しましょう。
フリップアップテーブル

フリップアップテーブルはハイエースの前席の背面に取り付けるテーブルです。使わないときは折りたたみ、使用時は展開できるため、旅をしながらのリモートワークやちょっとした休憩に便利です。
また、荷室部分の窓にパネルを貼り付け、フリップアップテーブルを取り付けるキットもあります。簡易的にキャンプ気分を味わってみたい方は、導入を検討してみてください。
防虫ネット

ハイエースの虫対策はスクリーンドアだけでなく、トランクとスライドドア部分の防虫ネットもあります。防虫ネットがあれば車内へ虫が入りにくくなり、スライドドアやトランクを開けたままにできるため、荷物の積み下ろしもラクになります。
防虫ネットはドア周りのゴム(ウェザーストリップ)に挟み込むので、しっかりと取り付けられます。また、メッシュ素材で外からも中が見えにくく、プライバシーも考慮されています。防虫ネット自体には虫が嫌がる素材が配合されている商品もあり、虫嫌いの方におすすめです。
ハイエースで車中泊する際の便利グッズ4選
ハイエースで車中泊する際にあると便利なグッズは以下の通りです。
- ポータブル電源
- シュラフ(寝袋)
- 小型LEDランタン・ルームランプ
- 遮光カーテン
これらのグッズを揃えておくと、車中泊の快適さがグッと高まります。用途に合わせて必要なものから準備してみてください。
ポータブル電源

車中泊で照明や小型家電、スマートフォンを充電するにはポータブル電源が便利です。車内に置くだけで取り付け工賃もかかりません。車のバッテリーを使用しないので、バッテリー上がりのリスクも避けられます。
ハイエースはオプションでアクセサリーコンセントを装備できますが、100〜150W以内にしか対応していません。主に100w以内で使用できる電気製品はスマートフォンの充電、扇風機、ゲーム機などです。そのため、冷蔵庫を使用して長期間の車中泊を検討している方は、オプションのアクセサリーコンセントよりポータブル電源がおすすめです。
また、ポータブル電源の容量の目安は以下の通りです。
- 200〜500Wh未満:スマホ充電やLED照明用
- 500〜1000Wh:扇風機や電気毛布に対応可能
- 1000Wh以上:冷蔵庫や調理家電にも対応可能
wは消費電力で「今どれだけ電力を使っているか」を示し、whは使った時間も含めた「合計でどれだけ電力を使ったか」を表します。購入時は、間違えないようにしっかり確認してください。
シュラフ(寝袋)

快適に就寝するためには、季節に合った寝具が必要です。車中泊では、収納スペースが限られるため、使わないときにコンパクトに収納できる寝袋・シュラフがおすすめです。ハイエースの場合は、生活空間が広いので邪魔にならない範囲であれば、布団や毛布でも代用できます。
シュラフには以下の種類があります。
- 封筒型:温度調整しやすく、ジッパーを開いて平らにすれば掛け布団代わりになる
- マミー型:保温性に優れており、真冬など寒い時期にぴったり
また、シュラフは「快適使用温度」にプラス5℃程度余裕があるものを選びましょう。快適使用温度とは、一般的な成人女性が寒さを感じずに快眠でき、シュラフが快適に使える温度の目安です。
たとえば、気温0℃で使用する場合、快適使用温度-5℃程度のシュラフだと快眠できます。ただ、寒さの感じ方には個人差があるので、寒がりな方はカイロや湯たんぽを併用すると暖かく眠れます。
小型LEDランタン・ルームランプ

車内でガスやガソリンを燃料とするランタンを使うと、火事や一酸化炭素中毒のリスクがあります。そのため、燃料を使わないLEDランタンがおすすめです。さらに小型のLEDランタンが複数個あると、車内照明を残したまま懐中電灯として外に持ち出せるため、2人以上の車中泊で便利です。
小型LEDランタンは、調光機能付きだと夜間に間接照明としても使用でき、点灯時間が8時間以上もつ製品だと一晩中点灯できます。
また、車の室内ルームランプをLEDに交換し、ドアの開閉に連動して点灯するようにしておくと、夜間や早朝の荷物の積み下ろしに役立ちます。
遮光カーテン

遮光カーテンは「プライバシー保護」「防犯対策」のためにも、車中泊に必須です。就寝や着替えのときに外からのぞき見されないよう、窓にシェードやカーテンで目隠しできるからです。
断熱性や保温性のあるシェードを活用することで車内の快適な室温を保てるため、寒さ・暑さ対策にもなります。窓ガラスは熱が伝わりやすい部分なので、断熱性・保温性のあるシェードでカバーするのがおすすめです。
シェードは車種別専用設計だと隙間なく取り付けられます。ハイエースはボディタイプごとに窓の形状が違うため、所有しているハイエースのグレードやボディタイプを確認してから購入しましょう。
また、ハイエースは運転席と後部座席の間に仕切りのカーテンが付けられます。運転席と就寝スペースを切り離すことで、冷暖房効率アップやフロントガラスの結露防止になります。
ハイエースで車中泊する際の注意点やマナー
車中泊ではトラブルを回避し、周囲に迷惑をかけないよう、法的ルールとマナーを理解し遵守しましょう。車中泊でしてはいけないNG行為は以下の通りです。
- 車内の火気厳禁
- 長時間のアイドリング
- 騒音やゴミの放置
- 許可されていない場所での車中泊
気持ちよく車中泊ライフを送るためにも、決められたマナーやルールは守りましょう。
車内の火気厳禁
車内でのバーナーやコンロなどの燃焼器具の使用は、火事や一酸化炭素中毒のリスクがあるため厳禁です。火器類は車外で使用してください。
調理する際も車外で行うのが理想ですが、どうしても不可能な場合はトランクと小窓を開けて十分に換気しましょう。また、調理後もしばらく換気し、車内に一酸化炭素が残らないようにすると安心です。対策として、一酸化炭素警報器の設置が有効です。
長時間のアイドリング
就寝中は必ずエンジンを完全に停止させてください。エンジンをつけっぱなしにすると、排気ガスが車内に流れ込み、一酸化炭素中毒になる危険性があります。
また、深い雪が積もっている、雪が多く降っている場所に駐車するのもやめましょう。マフラーが雪でふさがれガスが逆流し、一酸化炭素中毒により命を落とす事故が実際に発生しています。
就寝時はエンジンを完全停止させ、雪があまり降らない場所に駐車するようにしましょう。
また、防犯のため必ずドアはロックしてください。
騒音やゴミの放置
ハイエースのディーゼル車はエンジン音に気を配りましょう。5型以降のハイエースはエンジン音が改善されていますが、車外にいるとディーゼルエンジン特有のガラガラ音がするので、うるさいと感じる場合もあります。そのため、夜間はできる限りエンジンはかけないようにしましょう。
また、ゴミは必ず持ち帰り、自分で処理するのが車中泊やキャンプのマナーです。「来たときよりきれいに」を意識して、次の人も気持ちよく利用できるようにすると、車中泊がより楽しくなります。
許可されていない場所での車中泊
路上駐車や、商業施設の駐車場で停泊してはいけません。場合によっては、トラブルのもとになったり違法駐車になったりします。また、ひと気のないところや明かりがない場所も避けましょう。
道の駅や高速道路のSA・PAでの車中泊は、基本的に禁止されています。違法にはなりませんが、長期滞在や車外での調理はマナー違反になります。
確実に車中泊が許可されている場所は、オートキャンプ場、RVパークです。楽しく車中泊するためにも、禁止されている場所での停泊は控えましょう。
ハイエース車中泊で事前に知っておくと役立つこと
ハイエース車中泊で事前に知っておくと役立つことは以下の通りです。
- 季節ごとの対策
- 車中泊スポットの詳細を確認
上記2つを押さえておかないと、思わぬトラブルが起きて楽しい車中泊ができない可能性があります。事前に対策し、快適に過ごせる環境を作りましょう。
季節ごとの対策

夏場は熱がこもりやすく、熱中症の恐れがあるため、車中泊する場所や時期は慎重に選びましょう。暑さ対策として、扇風機を使用した換気やクールタオルなどの冷却アイテムの活用があげられます。虫対策はスクリーンドアや防虫ネットの設置が有効です。
冬場は車内が相当冷え込むため、防寒具や冬用シュラフが必須です。窓ガラスは熱が逃げやすいので、断熱性・保温性のあるシェードを使用すると車内が冷えにくくなります。
また、冬場の結露は快適性を妨げます。除湿剤の設置や、サーキュレーターによる空気循環、小窓の開閉でこまめに換気し、結露を防止しましょう。
車中泊スポットの詳細を確認

オートキャンプ場、RVパーク以外で停泊したい場合は、事前確認が必要です。宿泊可能かどうかを確認せず現地に向かい、停泊できないとすべての予定が潰れてしまいます。
また、駐車場の傾斜やレイアウトなどネット情報と異なる場合があるため、宿泊場所の候補は第二希望まで用意しておきましょう。トイレや水道施設の有無、24時間利用可能かどうかもわかると安心です。
ハイエースで車中泊するならコンプリートカーがいい?
ハイエースはおしゃれなコンプリートカーが各メーカーから発売されており、憧れる方も多いのではないでしょうか。ただ、見た目だけで購入してしまうと後悔する可能性があるため、コンプリートカーと純正からカスタムするのとどちらがおすすめかを解説します。ハイエースを購入する際の参考にしてください。
コンプリートカーがおすすめな人
コンプリートカーがおすすめな人は以下の通りです。
- すぐに車中泊へ行きたい
- おしゃれに乗りたい
- 快適に車中泊がしたい
コンプリートカーはすでに内装が完成しており、座席のレイアウトを変えるだけで広々としたベッドに変えられるものもあります。さらに外装がアウトドア風にカスタムされ、周囲と違うハイエースに乗りたい方はコンプリートカーに向いているといえます。
また、コンプリートカーのメリット・デメリットは以下の通りです。
| メリット | 個別にカスタムしていくより、工賃が安くなる 車検に対応している |
|---|---|
| デメリット | 車体購入費が高くなりやすい 修理が高額になることがある 自分でカスタムする楽しさが少ない |
コンプリートカーは500万円程度が相場です。独自のパーツを使用していることもあり、修理が高額になるケースもあります。その分、ハイエースで不便に感じやすいポイントをしっかり補えるパーツになっています。
ハイエースのコンプリートカーを販売しているお店はハイエース専門店が大半です。そのため、ハイエースに特化した知識やノウハウがあるため、コンプリートカーでも安心して車検やメンテナンスを依頼できます。
純正からカスタムがおすすめな人
純正からカスタムがおすすめな人は以下の通りです。
- カスタムを楽しみたい
- 車体購入費を安く抑えたい
- 自分だけの1台を作りたい
純正なら中古車から希望にあった車体を探し、購入費を安く抑えてカスタムに予算を使う方法も可能です。ハイエースを純正からカスタムするメリット・デメリットは以下の通りです。
| メリット | 希望の中古車を見つけやすい 好きなパーツをつけられる カスタムの楽しさを味わえる |
|---|---|
| デメリット | お店にカスタムを頼むと工賃が毎回発生する 車体購入後、すぐに車中泊できない |
新車から新品パーツをひとつずつお店に依頼すると毎回工賃が発生するため、結果的にコンプリートカーより高くなってしまうケースがあります。できる限り費用を押さえたい方は中古車をベースにし、パーツを自分で取り付けるのがおすすめです。当記事で紹介したアイデアグッズ・便利グッズを揃えるなら、車体購入費+50万円程度あれば車中泊仕様のハイエースを作れます。
DIYが好きな人なら、純正からカスタムして自分で制作するとコンプリートカーより満足度の高い車中泊ライフが送れるでしょう。
ハイエースのボディタイプは4種類
ハイエースの種類は複雑そうに見えますが、以下の組み合わせで4つに絞られます。ハイエースのボディタイプは以下の通りです。
| 幅 | ナロー(標準) ワイド |
|---|---|
| 長さ | ロング スーパーロング |
| 高さ | 標準ルーフ ミドルルーフ ハイルーフ |
上記の種類から、組み合わせは以下の通りです。
- ナロー(標準)×ロング×標準ルーフ(4ナンバーのバン)
- ナロー(標準)×ロング×ハイルーフ(4ナンバーのバン)
- ワイドボディ×ロング×ミドルルーフ(1ナンバーのバン、3ナンバーのワゴン)
- ワイドボディ×スーパーロング×ハイルーフ(グランドキャビン、ファインテックツアラー、コミューター)
4ナンバーのバンはもっとも街中で走っているタイプで、大人2〜3人が就寝できます。ハイエースの中ではサイズがもっとも小さいため、運転に不安がある方は4ナンバーのバンがおすすめです。
3ナンバーの10人乗りワゴンと1ナンバーのバンは、コンプリートカーのベースにされることが多く、就寝人数は大人3〜5人程度です。就寝人数は車内設備や子供の有無で異なります。
もっとも大きいサイズのグランドキャビンやファインテックツアラーは、主に10人までの送迎やキャンピングカーに使われています。就寝人数は1ナンバーバンと同様で、大人3〜5人程度です。コミューターは14人乗りで中型免許以上が必要になるため、注意しましょう。
まとめ
ハイエースが車中泊に選ばれる理由は車内空間の広さと専用パーツの豊富さです。スクリーンドアやベッドキットを導入すれば、より快適に車中泊ができます。
夫婦での車中泊なら4ナンバーのバン、4人以上の家族なら1ナンバーのバンかワゴンがおすすめです。また、車中泊の際は注意点やマナーに気を配り、周囲に迷惑をかけないようにしましょう。当記事で紹介したアイデアを参考に、ハイエースで快適な車中泊ライフを始めてみてください。

