車検の見積もりを取ろうとしたとき、「どこに依頼すればいいのか分からない」「見積もりを依頼するだけでは嫌な顔をされないか不安」と感じたことはないでしょうか。
車検費用は一律ではなく、依頼先や整備方針によって数万円の差が出るケースもあります。
法定費用は同じでも、車検基本料や整備内容は店舗ごとに異なるためです。
さらに近年は、OBD検査の義務化やヘッドライト検査基準の変更など、制度面のアップデートも進んでいます。
本記事では、車検見積もりを依頼できる業者の違いや、見積もりだけ依頼しても問題ない理由を整理しながら、比較時に押さえるべきポイントを解説します。
納得感のある車検につなげるための参考として活用してください。
車検の見積もりはどこで取る?業者別の特徴と比較

車検の見積もりは、大きく分けて以下の4か所で取るのが一般的です。
・ディーラー
・車検専門店
・カー用品店
・ガソリンスタンド
それぞれの業者の強みと弱みを把握して、あなたの優先順位(コスト・安心・スピード)に最適な依頼先を見つけましょう。
ディーラー
自動車ディーラーは安心と信頼においては優秀ですが、見積費用は最も高くなる傾向にあります。特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容(国産普通車の場合) |
|---|---|
| 車検基本料の目安 | 3.5万~10万円程度(+高価な純正部品代) |
| 見積もりの特徴 | 「予防整備」重視。2年後の安全まで見越した内容。 |
| 向いている人 | 費用よりも故障リスクの最小化と信頼を最優先したい人 |
| 注意点 | 予防整備の内容が多くなるため、最も高額になりやすい |
メーカー独自の整備基準に基づき、次回の車検(2年後)まで故障させないための「予防整備」を前提に見積書を作成する傾向があるためです。
部品の故障が発覚した際やまだ使える部品であっても、高価な純正部品を使用しアセンブリ(部品丸ごと)交換を推奨するケースが多いため、工賃や部品代とも高額になりやすいです。
例えば走行距離が10万kmを超えた車両では、ディーラーの見積もり総額が15万円以上になることも珍しくありません。
しかし車検以外で整備を行わない方にとっては「予防整備」による故障リスクの低減は、価格以上の価値があるといえるでしょう。
車検専門店
「見積もりのスピード」を最優先するなら、車検専門店が最適です。特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容(国産普通車の場合) |
|---|---|
| 車検基本料の目安 | 1万~3万円程度(+必要最小限の整備費) |
| 見積もりの特徴 | スピードと即決重視。立ち会い点検で納得感が高い。 |
| 向いている人 | 交渉や比較が面倒でその場で金額を確定させたい人 |
| 注意点 | 見積もり内容が「車検に通る最低限」に絞られやすい |
車検業務に特化したオペレーションを組んでいるため、その場で見積もりを確定させることが得意です。
車をリフトアップして整備士と一緒に現状を確認する「立ち会い見積もり」が多く、不透明な「後出し請求」を避けられます。
一方で、大掛かりな修理やエンジンの分解整備が必要な不具合には対応しきれないケースも。5年目の車検や走行距離が少ない車両など、大きな故障の恐れが低いタイミングで活用すると、節約効果を発揮できるといえるでしょう。
カー用品店
見積もり内容を予算に合わせて「柔軟にカスタマイズ」できるのが、カー用品店の強みです。特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容(国産普通車の場合) |
|---|---|
| 車検基本料の目安 | 1万~4.5万円程度(+選べる部品代) |
| 見積もりの特徴 | 選択の自由度が高く市販部品の活用で費用削減が可能 |
| 向いている人 | 整備項目を精査し、自分で納得して費用を調整したい人 |
| 注意点 | 土日は混雑し、見積もり完了までに時間がかかることがある |
店内の豊富な在庫から、オイルやバッテリー、タイヤのグレードを自分で選んで見積もりに反映できます。
またディーラーのような「純正品一択」の見積もりではなく、安価なプライベートブランド(PB)を選択肢に入れると、見積額をコントロールできるのがメリットです。
しかし週末は混雑していることが多く、見積もりに時間がかかったり予約がとりづらかったりします。車検期日から余裕をもってスケジュールを立てておくと安心です。
「ワイパーやバッテリーなどの部品交換はなるべく安く済ませたい」といった要望を反映しやすいため、メンテナンスに詳しく、少しでも支出を抑えたい方に最適といえるでしょう。
ガソリンスタンド
最も手軽に、かつ心理的ハードルを低く見積もりを依頼できるのがガソリンスタンドです。特徴は以下となります。
| 項目 | 内容(国産普通車の場合) |
|---|---|
| 車検基本料の目安 | 1.5万~3.5万円程度(+ガソリン割引特典等) |
| 見積もりの特徴 | 「利便性と手軽さ」重視で給油特典などのメリットがある |
| 向いている人 | 忙しくて店を回る暇がなく、まず大まかな相場を知りたい人 |
| 注意点 | ガソリンスタンドにより対応幅にばらつきがある 高度な診断機が必要な故障は対応できない可能性がある |
日常的な給油のついでに依頼できるため、本格的に業者を回る前の「一次調査」としての活用にも向いており、その場で概算を素早く提示してくれる店舗も多いです。
その反面、整備する設備に限界があり、重整備は外注となり納期が延びるケースには注意が必要です。
車検実施による「ガソリン代キャッシュバック」などのサービスが付帯することもあるため、普段使いできる距離にあるガソリンスタンドであれば、非常に魅力的な選択肢といえます。
見積もりだけでもOK?かかる時間やマナーを確認
業者から見積もりだけ依頼することに、不安を感じる必要は全くありません。以下の点を参考に、まずは気負わずに安心して見積もりを依頼しましょう。
「見積もりだけ」でも全く問題ない理由
見積もりだけで店を後にしてもマナー違反にはなりません。
車検業界において「相見積もり(複数の店を比較する)」は一般的な慣習であり、業者側も比較されることを前提に集客しているからです。
むしろ、何も比較せずに即決する客よりも、しっかりと内容を精査する客の方が信頼される場合もあります。
「家族と相談して〇〇日までにご連絡します」「他店の見積もりと比較して検討します」と一言添えるだけで、店側の印象は悪くなりません。
少しでも車検額で損をしないためには、堂々と「見積もりをお願いします」と伝えましょう。
見積所要時間は「30分~60分」が目安
正確な見積書を作成するためには、30分から60分程度の点検時間が必要です。
実際に車をリフトアップして「車検に通る状態か」を整備士が目視確認する必要があるためです。特に、ブレーキパッドの残量やゴム部品(ブーツ類)の破れなどは、実際に見てみない限り正確な部品代・工賃が算出できません。
見積もりの依頼における流れは以下の通りです。
| 工程 | 目安時間 | 内容 |
|---|---|---|
| 受付 | 約5分 | 車検証を提示し、走行距離や気になっている箇所を伝えます。 |
| 点検 | 約20~30分 | 整備士がエンジンルーム、足回り、排気漏れなどをチェックします。 |
| 説明・見積提示 | 約10~20分 | 点検結果を基に、交換必須な項目と推奨項目に分けて説明を受けます。 |
少人数で運営している店舗などでは、飛び込みでの見積もり依頼は長時間待たされるケースも珍しくありません。
貴重な休日を有効に過ごすためにも、平日や週末問わず電話やWebでの事前予約を済ませておきましょう。予約さえあれば、多忙な方でも隙間時間で効率的に見積もりを取ることができます。
車検見積もりのための必要書類

車検の見積もりを正確にスムーズに依頼するには、最新の制度に対応した書類準備が欠かせません。
当日、店舗で「情報が足りなくて見積もりが出せない」という事態を避けるため、以下の書類を用意します。
・自動車検査証(電子車検証)と記録事項
・自賠責保険証明書と納税証明書
不備による二度手間や計算ミスを未然に防ぐことで、正式な価格比較が可能です。
またそれ以外にも、ホイールロックナットを装着している方は、ロックナットアダプターも持参しましょう。万全の準備を行うことで、納得のいく車検見積もりをスタートできます。
自動車検査証(電子車検証)と記録事項
見積もり当日は「電子車検証」だけでなく、一緒に発行された「自動車検査証記録事項」というA4サイズの紙も持参してください。
2023年(軽自動車は2024年)から導入されたICタグ付きの電子車検証は、券面に「有効期間の満了する日」や「使用者の住所」などが記載されていないためです。(※)
見積もりの根拠となる「車両重量」や「型式」の判別ミスは、誤った法定費用の算出に直結します。記録事項の紙を提示して、正確な見積額を即座に算出してもらいましょう。
自賠責保険証明書と納税証明書
現在加入している「自賠責保険証明書」と、直近の「納税証明書」もあわせて用意しておきましょう。
車検の総額を算出するには、次の車検までの自賠責保険料を確定させる必要があり、現在の加入期間を確認することで、継続の手続きに必要な費用を正確に見積書へ反映できるからです。
納税証明書に関しては、オンラインで納付確認ができる「OSSシステム」が普及しているため、基本的には提示不要な場合が多いです。
しかし自動車税納付直後に見積もりを取る場合や、県外から引っ越してきたばかりの場合は、システムへの反映に数週間かかる場合があるため、納付書がある場合は持参しましょう。
なお自動車税の未納の状態でも車検見積もり自体は可能ですが、納付するまで車検そのものを受けられないため、車検の実施までには未納分を納付する必要があります。
車検の見積もりをスムーズに進めるためにも、「念のため持参する」という意識で準備しておくと安心です。
車検見積もりはいつから?新ルールと有効期限の注意点
納得できる依頼先を選ぶには、「いつ見積もりを取り始めるか」という時間の使い方が重要です。
特にお住まいが郊外で車を日常的に使っている場合、代車の空き状況や休日の予定調整まで含めて考える必要があります。
ここでは、損をしにくい見積もり開始のタイミングと、見積書の有効期限に関する注意点を整理します。
・見積もりのベストタイミングは「満了日の2~3か月前」
・見積書の有効期限は「2週間~1か月」が目安
車検見積もりは、単に早く取ればよいものではありません。「早すぎず、遅すぎない」適切なタイミングを見極めましょう。
見積もりのベストタイミングは「満了日の2~3か月前」
車検見積もりを始める理想的な時期は、車検満了日の2~3か月前です。
早めに動くと、多くの業者が実施している早期予約割引を活用できるケースが多いためです。早期予約割引では、3,000円~5,000円前後の値引きが適用されるケースもあり、最終的な車検費用に影響します。
また繁忙期とされている12月から3月は予約が集中しやすく、人気店ほど選択肢から外れてしまいがちです。
余裕を持って行動すれば、複数店舗から見積もりを取り、内容や金額を比較しながら、自分に合った依頼先を検討する時間を取れます。
車検の有効期限はフロントガラスの運転席側上部のシール(検査標章)に記載されています。
電子車検証で確認する場合は有効期限が印字されていないため、「車検証閲覧アプリ」や「自動車検査証記録事項」を使い、満了日を早めに確認する必要があります。
納得できる費用で車検を受けるために、適切な時期に見積もりをスタートしましょう。
見積書自体の有効期限は「2週間~1か月」
車検の見積書には有効期限が設定されており、一般的には発行日から2週間~1か月程度と考えておくとよいでしょう。
見積もり取得日から走行距離が伸びれば部品の摩耗は進行して、オイルやブレーキ関連の状態も見積もり時点から劣化します。
一定期間を過ぎると、当初の金額で整備内容を保証できなくなるため、期限内に依頼する必要があります。
もし有効期限を過ぎた場合は、再点検や再見積もりが必要になり、改めて店舗へ足を運ぶ手間が発生する可能性も。
その際には見積もり時に提示されていた割引や特典が失効するかもしれません。
そのため車検見積もりも「情報の鮮度」が重要です。複数の見積もりが出揃ったら1週間以内を目安に比較検討し、有効期限内に正式な予約を入れることが、時間面でも費用面でも無駄のない進め方といえます。
見積もり時に確認すべき新基準とは

車検の見積書を比較する際、従来どおりの整備項目や総額だけに目を向けていると、後から追加費用が発生するリスクを見逃しかねません。
近年の自動車検査制度では、電子制御化の進展や安全基準の見直しに伴い、車両条件によって新たな検査項目や手数料が必須となっているためです。
特に注意すべきなのが、以下の2点です。
・OBD検査(2024年10月~)の対象車両かどうか
・ヘッドライト新基準(2026年8月~)に適合できる状態かどうか
制度が過渡期にある今は、「実際にその車が基準を満たせるか」という観点まで踏み込んで見積もりを確認することが重要です。事前確認を徹底して想定外の出費を防ぎ、納得感のある車検につなげましょう。
OBD検査(2024年10月~)の対象有無
車検見積もりで最初に確認したいのが、OBD検査の対象車両かどうかという点です。
OBD検査とは2024年10月(輸入車は2025年10月)から定められた、自動ブレーキや車線維持支援などの先進運転支援システムが、正常に作動しているかを専用診断機で確認する検査を指します。(※)
検査の対象となるのは、国産車が2021年10月1日以降、輸入車が2022年10月1日以降に初度登録された車両です。
※参考:国土交通省|OBD検査とは?
OBD検査では法定の技術管理等通行料400円に加え、整備工場ごとに設定されるOBD診断料が必要となり、相場はおおよそ2,000~5,000円前後です。
注意したいのは対象車であるにもかかわらず、見積書にOBD検査関連の記載がないケースで、この場合は車検当日に追加請求される可能性があります。見積もり時点で「この車はOBD検査の対象ですか」と一言確認しておくだけでも、想定外の出費や予算のズレを防げます。
ヘッドライト新基準(2026年8月~)への対策
見積もり段階でもう一つ確認しておきたいのが、ヘッドライト検査の新基準への対応状況です。
2026年8月以降は、ヘッドライト検査における救済措置が見直され、ロービームで基準を満たさなければ不合格となります。(※)年式が古い車や、ヘッドライトを交換・カスタムしている車両は、特に影響を受けやすい点に注意が必要です。
※参考:国土交通省|令和6年8月からヘッドライト(ロービーム)の審査方法を変更します。
この新基準では、光量不足や配光の乱れがあると再検査や追加整備が必要になる可能性が高いです。実際の不合格要因としては、レンズの黄ばみ・曇り、社外LEDやHIDバルブによる配光不良などが挙げられます。
対策費用の目安は、レンズ研磨が5,000~10,000円程度、光軸調整が2,000~3,000円程度ですが、これらは車検当日に発生すると再検査の手間と費用がかさみやすいです。
見積もり時の点検で「現状のロービームで検査に通るか」を事前に判断してもらい、必要な整備をあらかじめ見積内容に含めると、当日の不合格や追加請求を避けやすくなるでしょう。
車検見積書を解剖!費用を抑える秘訣

車検の見積書には、制度上どうしても発生する費用と、選び方や考え方によって調整できる費用が混在しています。
この違いを把握しないまま総額だけで比較すると、「安いと思って依頼したのに、結果的に割高だった」という事態にもなりかねません。
見積書を正しく読み解くために重要なのは、費用を感覚ではなく論理で整理し、安全性を損なわずにコストを最適化する視点を持つことです。そのためには、次の3つのポイントを押さえておく必要があります。
・法定費用と車検基本料を正しく仕分ける
・適合と予防を仕分けて見積もりを精査する
・他店との相見積もりで「納得の価格」を引き出す
見積書は「提示された価格を受け入れるもの」ではなく、「判断材料として使いこなすもの」です。見積書の読み方ひとつで、車検にかかる負担は大きく変わるといえるでしょう。
法定費用と車検基本料を正しく仕分ける
見積書を受け取ったら、最初に確認すべきなのが「法定費用」と「車検基本料」が明確に区別されているかという点です。この2つを混同したままでは、価格の妥当性や業者ごとの違いを正しく判断できません。
法定費用と基本料の関係を以下にまとめました。
| 区分 | 主な内訳 | 金額の特徴 | 値引き可否 |
|---|---|---|---|
| 法定費用 | 重量税 自賠責保険料 印紙代 | 制度で金額が一律に定められている | 不可 |
| 車検基本料 | 点検作業料 検査代行費用 事務手数料など | 店舗ごとに設定され、価格差が出る | 可能(交渉・比較余地あり) |
法定費用とは、重量税や自賠責保険料、印紙代など、国や保険会社に納める費用を指します。これらは制度で金額が定められているため、どの業者で車検を受けても同額となり、値引きの余地はありません。
一方で車検基本料は点検作業料や検査代行費用、事務手数料などが含まれ、各店舗が独自に設定できる部分です。業者間で価格差が生じるのは、主にこの基本料にあります。
「車検基本料9,800円」といった広告を見かけても、実際の見積書では別名目の手数料が追加され、想定より高くなるケースは珍しくありません。反対に、基本料が一見高めでも、必要な作業や手数料がすべて含まれており、最終的な総額では割安になることも。
重要なのは、表面的な価格の安さに惑わされず、業者ごとに裁量が及ぶ費用項目を正確に把握することです。どの部分にコストや利益構造が反映されているのかを見極めて、適切に車検見積もりを判断しましょう。
適合と予防を仕分けて見積もりを精査する
見積書を確認する際は、整備項目をそのまま受け取るのではなく、内容を整理する視点が欠かせません。
車検の整備は、大きく「車検に合格するために必須の整備」と「将来のトラブルを防ぐための予防整備」に分けられます。
多くの見積もりでは安全面への配慮から両者がまとめて提示されますが、すべてを同時に実施する必要はない場合が多く、現時点で車検に通らない箇所に絞るだけでも費用を削減できます。
以下に必須整備と予防整備の例をまとめました。
| 整備区分 | 主な項目例 | 整備方針 |
|---|---|---|
| 必須整備 | タイヤの溝不足 灯火類の不点灯 駆動系ブーツ類の破れ | 保安基準に適合せず、未整備の場合は車検に通らない 安全確保・法令遵守の観点から修理が必須 グリス漏れや重大故障につながるため、交換が必要 |
| 予防整備 | バッテリー交換 エアコンフィルター交換 各種添加剤 | 現時点で不具合はなくても、将来的なトラブル防止目的 快適性維持・衛生面向上を目的とした整備 エンジンや燃料系のコンディション維持を目的とする提案 |
まず見積もりを受け取ったら、「今対応しないと車検に通らない整備なのか」を基準に確認してみましょう。予防目的の整備であれば、今回は見送り別のタイミングで実施するという判断も現実的な選択肢です。
他店との相見積もりで「納得の価格」を引き出す
相見積もりで重視すべきなのは、総額の安さではなく、同じ条件で比較できているかどうかです。整備内容が異なる見積書を並べても、価格差の理由が不明確になり比較できません。
確実なのは、A社の見積内容を基準にしてB社へ相談し、「この整備内容で実施するといくらになるか」と確認する方法です。
しかしそこまでできない方も多いと思うので、その際は見積書内の「必須項目」と「推奨項目」を明確にしておきましょう。条件を揃えると、価格差がどこで発生しているのか見極めやすいです。
昨今は人件費の高騰もあり、無理に値下げを求めても応じてくれるケースは少ないです。そのため価格以外の、代車の有無やオイル交換サービスといった付加価値があるかどうかを判断材料にしましょう。
納得できる価格とは、単に安い金額ではなくその根拠が明確で説明に一貫性がある状態です。複数の見積書を比較することで情報の偏りを防ぎ、車検費用で損をしない判断につなげられます。
なぜ事前の「車検見積もり」が重要なのか

車検は、当日に車を預けて終わりという単純な手続きではありません。事前に見積もりを取ることは金額を把握するだけでなく、後悔しない判断をするための準備でもあります。
見積もりを取らずに車検を進めてしまうと、提示された内容が高いのか妥当なのか判断できません。業者の説明をそのまま受け入れるしかなくなり、不要な出費につながる場合もあります。
事前車検見積もりには、以下のメリットがあります。
・業者ごとの価格差を事前に把握できる
・車検後に追加費用が発生するリスクを減らせる
こうした準備によって、費用面だけでなく気持ちの面でも余裕を持って車検に臨めるといえるでしょう。
業者によって数万円単位の価格差が出るから
事前見積もりが重要とされる理由の一つは、車検費用の差をあらかじめ把握できる点です。
車検費用は、基本料金や工賃、整備内容の考え方によって大きく変わります。同じ車両であっても、依頼先が違うだけで3万~5万円程度の差が生じることは珍しくありません。
こうした差は、部品交換や整備範囲をどこまで含めるかという方針の違いから生まれます。
例えば、ディーラーでは将来的なトラブル防止を重視し、予防整備を含めた提案になりやすい傾向があります。対して車検専門店では、車検に必要な最低限の整備に絞った見積もりが提示されるケースが多いです。
複数の見積もりを比較することで、単なる金額差ではなく、「なぜこの価格になるのか」という背景が見えてきます。高い・安いという印象だけで判断するのではなく、内容を理解したうえで選択できる点こそが、事前見積もりの大きな価値といえるでしょう。
分解後の「後出し請求」トラブルを防げるから
事前に見積もりを取ることは、車検後に発生しがちな追加請求を防ぐうえでも重要です。
見積もりを取らずに当日入庫した場合、作業の途中で「追加整備が必要」と連絡が入り、想定外の費用を提示される場合があります。すでに車が分解された状態では、他の業者へ切り替えるのが難しく、そのまま了承せざるを得ない状況になります。
事前見積もりの際は、現車確認をしてもらったうえで、「この見積もり以外に追加費用が発生する可能性はあるか」を確認しましょう。見積書に含まれていない作業が出た場合は、その都度理由を説明してもらい、再度判断するという流れを作っておけば、想定外の出費を防げます。
車検の事前見積もりは、単に費用を抑えるための手段ではなく、納得感と安心を持って車を預けるための実用的な対策といえます。
まとめ
車検見積もりは、単に「いくら安くできるか」を比較するためのものではありません。本来の目的は、自分の車がこれからも安全に走り続けるために、どの整備がどの程度必要なのかを見極めることです。
価格だけを基準にすると、必要な整備まで削ってしまい、結果として安全性や将来の維持費に影響を及ぼす可能性も。
法定費用はどの業者でも同額ですが、車検基本料や整備内容は業者の考え方によって差が出ます。だからこそ見積書を確認し、「今すぐ必要な整備か」「今回は見送れるか」を判断する視点が欠かせません。
さらに、OBD検査やヘッドライト基準の変更など、車検制度は年々アップデートされています。見積もり段階で制度対応の有無や追加費用の可能性まで把握すると、当日の想定外を防げます。
安さだけで判断せずに、今後も安心したカーライフを過ごせるかどうかという観点で、車検の見積もりを依頼しましょう。

